2019年10月例会報告

まず最初に、日韓関係についての、日本政府の発言の経緯の説明などを受け、日本が韓国を併合し、植民地化した過去をどのように考え対応してきたかを確認しました。

「反省」「責任を痛感」「植民地支配」「侵略」と進むが安倍政権以降は逆行している。

☆様々な経過はあるが謝罪には心がこもっているかどうかが 問題。心から謝罪しているかどうかは相手に分かる。

☆国際社会の謝罪ルールにのっとっていない。

☆今回の解決の糸口はあるはず。話し合いを!

☆裁判の解釈の確認は必要と思う。

☆何故、政府が介入しているのか?三権分立を理解していない

☆企業と被害者との問題であり、民事なのになぜ国が出てくるのかが問題。いたずらに問題を長引かせ、拡げている。

☆韓国ドラマなど、ファンは多い。市民の交流が大きな力になる。国民の中の力はあるはず。期待しよう。

☆日本政府の植民地支配に対する謝罪がない限り解決は困難

など、多くの意見が出されました。

韓国の大法院判決を考える

日韓の争点はなにか

いま日韓関係は国交正常化以来最悪の状態と言われている。その契機は韓国大法院が昨年10月30日に行った判決である。第二次大戦末期の徴用工に対する慰謝料は未解決として、これを認める判決であった。日本政府は、戦後の日韓国交正常化に際して、1965年に締結した「日韓請求権協定」(以下では「請求権協定」とする)で、この慰謝料問題も解決済みであるとし、日韓間の争点となった。それ故、この問題について考えてみたい。

請求権協定の交渉で、韓国政府は、1910年の「韓国併合条約」は最初から無効であり、日本の朝鮮統治は不法・不当な植民地支配であったから、それと関連する慰謝料も支払うべきであると主張し、これを含む8項目の要求を提示した。これに対し日本政府は、朝鮮統治は両国の合意で結んだ条約による合邦であり、不法な植民地統治ではなかったと主張した。この歴史認識の違いは1951年に始まった交渉の中では解決せず、最終的には日韓基本条約の中で「韓国併合条約」は「もはや無効」という文言で妥協し、棚上げされた。

請求権交渉の中で韓国側は12.2億ドルを要求したが、日本は無償3億ドル、有償(貸与)2億ドルが上限と主張、この線で妥結することになった。交渉では徴用工への未払い賃金や慰謝料についても議論されたが、請求権協定では3億ドルの内訳は不明確なまま、韓国が提示した8項目に関してはすべて解決済みとして協定が締結された。

日本政府は国内では、この金は賠償金ではなく、韓国の独立祝い金であり、経済協力であると説明した。

日本政府の歴史認識の変化

それ以後、東西冷戦の終結、韓国の民主化、日本の自民党の政権離脱など、国際情勢や日韓両国の政治状況にも大きな変化があった。また、日本と朝鮮半島の近・現代史の研究も大きく進展していた。1990年代に入り、朝鮮統治に関する日本政府の認識にも大きな変化が現れた。それは1993年8月の細川首相の所信表明で、日本の朝鮮統治は、侵略と植民地支配であったことを認めるものであった。1994年6月に誕生した村山政権は日本社会党、自由民主党、さきがけの3党連合政権であったが、朝鮮統治について細川首相と同様の認識を閣議で決定し、村山内閣総理大臣談話(通称「村山談話」)として発表した。以後歴代の日本政府は、「村山談話」を日本政府の正式 見解として受け継いできている。朝鮮統治に関する日本政府の上記の変化は、日韓基 本条約締結当時に日本政府の主張した合法的統治が虚構のものであったことを示した。 本条約締結当時に日本政府の主張した合法的統治が虚構のものであったことを示した。

日韓請求権協定に含まれていないもの

以上で見た通り、日本政府の立場には大きな変化があったが、韓国政府や大法院は日韓基本条約や請求権協定を否定しているわけではない。大法院は請求権協定には含まれていない問題として、冒頭に述べた判決を行っている。これまで、韓国政府は徴用工に対する未払い賃金の支払いは行っているが、徴用工とされた人々は、補償が不十分として、日本の会社や韓国政府に補償を要求し、裁判を続けてきた。しかし裁判は敗訴の連続であった。ここでは経過を詳しく書くことはできないが、曲折を経たうえ、経昨年10月に至り、初めて韓国大法院が最終的に徴用工の主張を認める判決を下した。日本政府は全て解決済みであるとして、貿易の規制を強化するなどの対抗策を取り 両国の緊張が高まることになった。

どちらの主張に説得力があるか

韓国大法院の判決は、請求権協定締結当時、日本政府は、朝鮮統治は合法的と主張していたので、不法統治に関する補償は、論理上請求権協定には含まれていないものであり、日本政府が不法統治を認めようになった現在は支払うべきであるという論理である。また、安倍政権は従来解決済みとしてきた従軍慰安婦問題で、政府の責任を認めて2015年12月、10億円支払うことで韓国政府と合意したが、これも大法院判決を支える論拠となっていると考えられる。筆者は法律の門外漢ではあるが、韓国大法院の判決の方が、安倍政府の主張より筋が通っているように思われる。

2019年9月例会から

  • 韓国と世界の歴史経過を一覧表に
  • 韓国は「敵」なのか
  • 韓国文在寅政権と安倍政権―対立の背景にあるもの

☆植民地支配と過去清算をめぐる日韓関係年表(週刊金曜日から)などその他徴用工問題や韓国併合以来の日韓関係・日本政府の対応などに関する、新聞の切抜きコピー等多くの資料が届けられました。

例会ではまず、今日の日韓問題などに関して、意見や質問などを自由に出していただき、その内容についての資料提供者に説明をお願いして議論しました。

1965年の日韓基本条約についての安倍発言の問題点、日韓併合を教科書がどのように伝え、その後の植民地政策についてもどのように記されてきたのか?

歴史をゆがめる教科書が大きな問題

日本人の戦争観は、被害者意識が大きく、加害者意識の欠如が問題。日本が何をしてきたのかをもっとしっかりと学び伝えることが今とても大切。

憲法で記される基本的人権は、すべての国の人々の人権を尊重する事、天皇の戦争責任問題などなど時間が無くなり次回も継続することになりました。

たより2019年10月号編集後記

日本で、世界で、何がおこっているのかをしっかり見ての国政が第一でしょう? 何が何でも改憲を叫ぶ安倍発言は憲法違反!!

消費税をいくら上げても、法人税減税の減収や富裕層の所得税減税分や大企業の消費税戻し還付金で消えてゆく??

なぜこんなことになるの?!! みんなで賢くならないと。 S.

日韓両国のメディア労働者共同宣言

事実に基づいた報道で、国境を越えて平和と人権が尊重される社会を目指そう

歴史問題に端を発した日韓両国の政治対立が、さまざまな分野での交流を引き裂き、両国の距離を遠ざけている。

歴史の事実に目を背ける者に、未来は語れない。

過去の反省なしには、未来を論じることはできない。

排外的な言説や偏狭なナショナリズムが幅をきかせ、市民のかけがえのない人権や、平和、友好関係が踏みにじられることがあってはならない。いまこそ、こつこつと積み上げた事実を正しく、自由に報道していくという私たちメディア労働者の本分が問われている。

今日、日本の「マスコミ文化情報労組会議」と韓国の「全国言論労働組合」に集うメディア労働者たちは、平和と人権を守り、民主主義を支えるメディアの本来の責務をもう一度自覚して、次のように宣言する。

一、我々は今後、あらゆる報道で事実を追求するジャーナリズムの本分を守り、平和と 人権が尊重される社会を目指す。

一、平和や人権が踏みにじられた過去の過ちを繰り返すことがないよう、ナショナリズムを助長する報道には加担しない。

2019年9月28日

日本マスコミ文化情報労組会議 韓國全国言論労働組合