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黒人青年ヴァージル。夜の駅で列車を待っていた彼は、突然、警察によって拘束される。南部で発生した殺人事件の容疑者にされたのだった。取り調べの中で、彼はフィラデルフィア市警殺人課の敏腕刑事であることが判明。黒人刑事ということで、白人の警察署長ビルは反感を抱くのだが、互いに協力して捜査を進めていくことに…。
主演はヴァージル役のシドニー・ポワチエ。切れ味鋭い推理など、ドラマは彼を中心に展開、ストーリー上でのヒーローでもある。エンドクレジットでトップに表示されることからも、それは間違いない。しかし、1968年のアカデミー賞で主演男優賞を受賞したのは、ビル警察署長役のロッド・スタイガーだった。人種に対する偏見が、アカデミー賞内部にも巣くっていることがわかる。
1864年、シャイアン族との生活で先住民の暮らしに慣れた女性。騎兵隊を伴って婚約者の待つ砦へ出発したのだが、途中でインディアンに襲われ、生き残ったのは彼女ともうひとりの若い兵士だけだった。どうにか砦にたどり着いた二人は、協定を破りシャイアンの集落を襲撃しようとする騎兵隊の計画を知る。後に“サンドクリークの大虐殺”と呼ばれることになる西部開拓史の汚点を描いた問題作。
幼い頃に両親を殺されたジャックは先住民(インディアン)に育てられた。身体は小さいが勇気があり、仲間からは「小さな巨人」と呼ばれる。騎兵隊との戦闘で捕らえられ、白人社会で生活するようになった。先住民の撲滅に異常な執念を燃やす米陸軍中佐ジョージ・アームストロング・カスター(通称カスター将軍)を押さえるためである。白人と先住民、このまったく異なる二つの世界を生き抜いた一人の男の回想録を、ダスティン・ホフマンの熱演によって映像化したアーサー・ペンの問題作。
19世紀半ばのルイジアナ。ウォーレンとハモンドのマクスウェル父子は黒人奴隷を育てて売る農園を経営していた。ハモンドは名家の娘ブランチと結婚するが、彼女が処女でなかったために怒り狂い、美しい黒人娘を囲っていた。一方のブランチは、ハモンドお気に入りの黒人、「マンディンゴ」と呼ばれる優良種の黒人ミードを寝室に引き入れる。やがて黒人娘はハモンドの子を宿し、ブランチは黒い赤ん坊を産む…。奴隷問題にメスを入れたカイル・オンストットのベストセラーを映画化したもの。
1909年、ジョージア州の小さな町。あどけなさの残る少女セリーが出産する。その後、ミスターと呼ばれる横暴な男のもとへ嫁ぐのだが、奴隷のように扱われる毎日だった。ある日、ミスターが家に連れ帰ったのは、愛人の歌手シャグ。自立の精神を持つ彼女と出会うことで明るい未来を予感するセリー。ピュリツアー賞を受賞したアリス・ウォーカーの原作を下敷きにした本作は、ウーピー・ゴールドバーグのデビュー作であると同時に、スティーヴン・スピルバーグが、娯楽作品から人間を中心に据えた社会ドラマ制作に転換していく時期でもある。
18世紀の英国は、国の歳入、とりわけ貴族階級の収入の多くが奴隷貿易によるものであった。そのことに心を痛めたウィリアム・ウィルバーフォース。若くして国会議員となったものの、博愛精神にあふれた彼は、心の救済を信仰に求め、聖職者の道を選ぶべきか思い悩むのだった。政治の世界にとどまるよう諭したのは、恩師である牧師ジョン・ニュートン。かつて奴隷船の船長をしていた人物で、ジョンが自らの罪を悔いて作詞したのが「アメイジング・グレイス」。この曲を心の支えに、ウィリアムは政治家として奴隷貿易廃止を訴え続ける。名曲「アメイジング・グレイス」の誕生に秘められた感動の実話を映画化したドラマ。
キューバの沖合。スペインの奴隷船アミスタッド号で、商品奴隷として捕らえられていた53人のアフリカ人たちが暴動を起こした。乗組員を殺害し、船を乗っ取った目的は、故郷に帰りたい、ただそれだけだった。1839年のことである。船は二ヶ月後、アメリカの沿岸警備船に拿捕され、彼らは投獄される。死刑は確実だった。奴隷制度が当たり前だった時代のアメリカ。彼らを救おうと、法制度に疑問を投げかけた元大統領ジョン・クインシー・アダムズの闘いを、実話をもとにスピルバーグが描いた感動作。
19世紀前半、南北戦争前のニューヨーク。この街に暮らすソロモンは、生まれながらの自由黒人であり、音楽家。妻子とともに、白人を含む多くの友人に囲まれ、幸せな日々を過ごしていた。ある日、二週間の興行に参加した彼を、興行主が騙して拉致し、奴隷市場に送ってしまう。名前も人間としての尊厳も奪われ、奴隷として大農園主に買われていくソロモン。農場では、彼の有能さが認められ、温厚な主人に気に入られるのだが…。実在の黒人男性ソロモン・ノーサップの自伝を映画化した、衝撃の伝記ドラマ。
南北戦争の時代、北軍の若き白人大佐R・G・ショーの指揮の下に実在した第54連隊の運命を描いた歴史大作。アメリカ史上初の黒人部隊の結成から、彼らがワグナー砦の戦いで全滅するまでを、緻密な歴史考証で再現する。連続する激戦の中で、黒人たちがアイデンティティを確立していく過程が感動的。
2005年12月15日、NHK総合で放送されたもの。
アメリカ公民権運動の発端になった事件を背景に、白人女性の主婦とその家の黒人メイドとの友情を描いた人間と社会のドラマ。乗り合いバスに白人用と黒人用で座席が分けられていた1955年のアラバマ州、ひとりの黒人女性が白人用の席に座った事から逮捕されるという事件が起きた。長年屈辱的な差別を受け続けていた黒人たちは抗議の意志として、全米各地でバス乗車拒否の運動を始める。運動に参加したオデッサは、足にまめを作りながら、自宅からメイドとして働く白人宅までの長い道のりを通い続けるのだが、そんな彼女の行動を見かねた雇い主の主婦ミリアムは、車でオデッサを迎えに行こうとするのだが、周囲の白人たちからは猛反発を受けてしまう…。日本語版のリリースを期待したい。
マーチン・ルーサー・キング・Jr牧師は、ノーベル平和賞を受賞した翌1965年、暗殺されたジョン・F・ケネディの後を受け、差別撤廃に理解を示すジョンソン大統領に働きかけるとともに、黒人の選挙人登録を妨害し続ける南部アラバマ州での抗議運動に力を入れていた。そうした中、セルマから州都モントゴメリーへ向かう黒人のデモ行進が白人の州警官らによって襲撃される事件が起きる。テレビでも報じられ、全米中に衝撃をもたらした。やがてキング牧師の呼びかけに応じ、人種の壁を越えて全国から多数の人々がデモ参加のために集まってくることになるのだが…。
公民権運動のターニングポイントとなった「セルマの大行進」を題材に、非暴力を貫いた黒人指導者キング牧師の闘争の軌跡と偉大な功績を、苦悩と葛藤を抱えた人間味あふれる人物像とともに描いた感動作である。
米国における黒人差別の歴史を、黒人文学を代表する作家であり、公民権運動にも関わったジェームズ・ボールドウィンの言葉を通してたどる社会派ドキュメンタリー。ボールドウィンと出会い、暗殺されたメドガー・エヴァース、マルコムX、マーティン・ルーサー・キング・Jrの三人の公民権運動の指導者を軸に、今なお続く黒人差別の本質を浮き彫りにしていく。
1971年のバージニア州。ある町の白人の高校と黒人の高校が統合されることになった。両校のフットボール・チームも。人種差別が根強い地元住民が反発する中、アメリカ初の白人・黒人混成チームが誕生する。さまざまな苦難を乗り越え、チームはひとつにまとまっていくのだが…。まだ人種差別が大きな問題となっていたアメリカで、当時、実際にあったエピソードにもとづいたスポーツと人間のドラマ。
1992年のロス暴動から二年。ロサンゼルス郊外のウィルソン高校に赴任してきた若い国語教師、エリン・グルーウェル。理想を抱き、情熱あふれる彼女だったが、人種間の対立は激しく、担当するクラスにも暗い影を落としていた。ヒスパニック系、アフリカ系、アジア系など、生徒たちは人種ごとに分裂し、一触即発の状態。銃や麻薬がはびこり、その日を生きるのが精一杯の彼ら・彼女らにとって、自分の将来のことなどを考える余裕はなかった。そうした中で、授業の進め方に苦心惨憺のエリン。ある日、全生徒に日記帳を配り、何でもいいから毎日書くことを提案する。少しずつではあったが、本音をつづるようになった生徒たちは、次第にエリンに対して心を開き、自らとも向き合うようになっていく。
荒廃する学校で、未来の見えなかった生徒たちと一人の女性教師が起こした奇跡の実話を描いた全米ベストセラーを映画化した感動のドラマ。
カンヌ映画祭で審査員グランプリに輝いた感動作。ナチスの強制収容所に送られた一家の物語を、ユーモラスに、あたたかな視点で描く。小学校教師のドーラに恋したユダヤ系イタリア人のグイド。純粋な彼に惹かれ、彼女も結婚を承諾。やがて息子が生まれ、幸せに暮らしていた3人だが、突然強制収容所への移送命令が下る。
ジュリアは夫と娘とともにパリに暮らすアメリカ人ジャーナリスト。ある日、かつて同じアパートの住人が、フランス当局の迫害によってアウシュビッツに送られたユダヤ人家族であったことを知る。1942年のフランス。警察による一斉検挙の朝、10歳のサラは弟を納戸に隠して鍵をかける。すぐに戻れると思っていたが、大勢のユダヤ人らとともに競輪場に隔離され、収容所へと送られてしまった。弟が心配なサラは脱走を決意するが…。ひとりの少女がたどった過酷な運命を、事件の真相を追う現代のアメリカ人女性ジャーナリストの取材過程を通して描く、衝撃と感動の人間ドラマ。
ナチス占領下のパリ。ユダヤ人には識別用の“黄色い星”を付けることが義務づけられていた。フランス政府はユダヤ人迫害政策を進めるヒトラーの求めに応じ、パリ地区に住む外国籍のユダヤ人2万4000人の一斉検挙を決定。1942年7月16日、1万3000人ものユダヤ人が、ヴェル・ディヴ(冬季競技場)に押し込められ、水も食料もないまま放置される。何千もの患者であふれる中、自身も検挙された医師のシェインバウムと赤十字から派遣された看護師のアネットが対応するが…。フランス政府がナチスに荷担しておこなった最大のユダヤ人迫害事件をめぐる衝撃の実話を、元ジャーナリストのローズ・ボッシュ監督が人間ドラマとして映画化。
前半は南アフリカ共和国のアパルトヘイトの実態を背景に、人種差別に立ち向かった黒人運動家、スティーヴ・ビコと、彼を取材した記者、ドナルド・ウッズの友情が描かれる。拷問の末にビコが獄中死してからの後半は、この真実を世界に訴えようと、国外脱出を図るウッズ一家の冒険物語。ウッズの原作をもとにした社会派ドラマだ。
1918年、南アフリカに生まれたネルソン・マンデラ。ヨハネスブルクで法律を学んだ彼は黒人差別に疑問を抱くようになる。反アパルトヘイトを掲げるアフリカ民族会議(ANC)に入党し、政治活動を始めるのだが、非暴力主義に限界を感じ、過激な武装闘争に身を投じていく。各地でテロ行為を行い、ついに逮捕され、終身刑を言い渡されるのだが…。人種隔離政策「アパルトヘイト」撤廃を導いた南アフリカの英雄ネルソン・マンデラの自伝をもとに、彼の長く険しい自由への闘いの道のりを映画化した感動の人間ドラマ。
皆様、私達女性は戦争に負けて初めて女性解放運動が出来ました。明治時代の封建制度の中「女三従の道」や「女三界に家なし」の女性蔑視社会で、女性は従うしかないという教育の中、女性解放運動に尽くした女性がいました。その一人が荻野吟子です。
吟子は医師という職業をあたえてくれない明治時代に十八年もの間勉学に明け暮れ、日本第一号の女性医師となりました。彼女は十八歳で結婚し、夫より病気を移され、医師はすべて男性だということ、そして、男性医師に自らの体を見せるのが嫌で自殺をしたり、生涯医者にかからず痛みに耐えている女性の多さを知り、自らが女性医師となることを決意します。
つい先日、大学医学部の入試における男性有利が問題になっている、私は明治時代にさかのぼったかと驚きました。どうかこの映画で吟子の一生を観て頂いて考えていただけましたら、私は大変うれしく思います。荻野吟子はこの功績が認められ埼玉県の三大偉人(他二人は渋沢栄一・塙保己一)の一人になりました。その陰で女性解放の為に戦った女性がまだたくさんいると思います。私はこの映画をその女性の方々に捧げます。(山田火砂子)
マグダレン修道院。娼婦だったマグダラのマリアがイエスによって改心したことに因んでつけられた施設に、1964年、三人の少女が連れてこられた。一人はその美貌が周囲の少年らを誘惑するとして、別の一人は従兄弟にレイプされたことが、残りの一人は未婚のまま出産したことが、それぞれ罪と見なされたからである。古参の修道女たちは三人を性悪女と決めつけ、神に捧げる祈りと労働によって悔い改めることを命ずる。それは1996年に閉鎖されるまで、三万人もの女性に性的堕落という烙印を押し、矯正させると称し、過酷な労働を課し、一切の自由を認めない、刑務所にもまさる非人間的な環境だった。2002年のヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した衝撃的な事実の物語。
1912年の英国。幼い息子を抱えながら、劣悪な環境の洗濯工場で働く24歳の女性がいた。同じ職場、同じ仕事なのに、なぜか男性労働者より安い賃金。過酷な長時間労働も、この職場しか知らない彼女にとっては、当たり前のことに過ぎなかった。ある日、女性参政権を求めるWSPU(女性社会政治同盟)の抗議活動に遭遇する。この出会いが、彼女のその後の人生を大きく変えることになるとは…。女性参政権を獲得するために立ち上がった、名も無き女性たちの勇気ある行動。今からおよそ100年前の英国でのこと。
第一次大戦と世界恐慌の狭間、オランダからの移民であるアントニアの夢は、オーケストラの指揮者になることだった。まだ女性では一人もいなかった時代である。音楽への情熱は誰にも負けないつもりだったが、彼女の前に立ちはだかるいくつもの高い壁。それでも夢を捨てなかったアントニアは、ついにベルリンで女性に指揮を教えてくれる指導者と巡り会う。オーケストラの指揮は男性にしかできないと思われていた時代に、差別や偏見に打ち勝ち、夢を実現した女性指揮者のパイオニア的存在、アントニア・ブリコの波瀾にみちた人生を映画化したドラマである。
米ソ冷戦下の1960年代、ソ連と宇宙開発競争をくり広げる米国のNASAラングレー研究所に、優秀な黒人女性たちが働く計算グループがあった。管理職への昇進が叶わないドロシーはまとめ役。メアリーはエンジニアを目指すものの、大学は黒人への門戸を閉ざしたまま。幼い頃から類いまれな数学の才能を発揮してきたキャサリンは、実力が認められて宇宙特別研究本部に配属されるのだが、そこは白人男性ばかりの職場。黒人で、しかも女性のキャサリンは歓迎されない。建物には黒人が使うことを許されたトイレすらなく、800m離れた別棟まで行かなければならなかった。それでも三人は自分たちの力を信じ、米国初の有人人工衛星打ち上げという一大国家プロジェクトを支えるために奮闘する。
DV夫と別れ、故郷のミネソタに戻ってきた主人公。シングルマザーの上、二人の子どもの父親は違うこともあって、周囲の彼女への視線は冷たい。女手一つで子どもを育てることを決め、鉱山労働につくことにした。きつい仕事であることは覚悟していたものの、同僚のほとんどは男。彼らの露骨で悪質な嫌がらせに困惑する毎日だった。勇気を持って立ち上がり、全米で最初にセクシャルハラスメント訴訟に勝った実在の女性をモデルに映画化した感動ドラマ。
今日、RBGの愛称で親しまれるルース・ベイダー・ギンズバーグ。貧しいユダヤ人家庭の生まれたが、ハーバード大学ロー・スクールに入学。ところが、同じ大学に通う夫が癌に。学業に加え、夫の看病に幼い娘の育児と、多忙な毎日を送らざるを得なかった。幸いなことに、二年後に夫が全快。彼がニューヨークの法律事務所で働き始めことで、ルースはコロンビア大学に編入する。首席で卒業したルースだったが、どの法律事務所も女性であるという理由で採用しようとしない。大学教授として働き始めたものの、弁護士の夢を追い続けるルース。ある日、夫から見せてもらった訴訟記録に、世の中を変える大きな裁判になると直感し、自ら弁護を買って出る。
全米中の尊敬を集める合衆国最高裁判所女性判事、RBG。女性への差別がまかり通っていた1970年代、男女平等を目指して、誰もが勝ち目がないと考えた裁判に挑む若きルース・ベイダー・ギンズバーグの不屈の闘いを描いたドラマである。
現役最高齢の女性最高裁判事、ルース・ベイダー・ギンズバーグ。性差別に立ち向かう女性たちのシンボリックな存在として、女性を中心に熱狂的な支持を集める彼女を、人は尊敬と親しみを込めて“RBG”と呼ぶ。女性の地位向上と権利拡大のために尽くしてきた半生、知られざる素顔、彼女を支えてきた夫を描いた感動のドキュメンタリー。
ミシェルは競馬一家の末娘。成長するにつれ、兄弟たちと同じように、騎手になることを夢見るようになった。しかし、競馬の世界は男社会。女性が騎手になるのは容易なことではない。まして、そこで活躍するなど、夢のまた夢…。
オーストラリアでもっとも栄誉あるレース、メルボルン・カップに、女性で初めて勝利した騎手ミシェル・ペインを描いた伝記ドラマ。
自分がエイズに感染したことを知った弁護士ベケット。勤務する法律事務所は彼を解雇するが、エイズ患者に対する不当な差別だとして訴訟を決意し、法廷で闘ったこともあるミラーに弁護を依頼する。同性愛者でエイズ患者であることに偏見を抱くミラーは、一度は依頼を断るものの、偏見や蔑視と戦おうとするベケットの姿に心を打たれ、弁護を引き受けることにしたが、日ごと衰弱していくベケットとその関係者にとって裁判は過酷なものになっていく。フィラデルフィア―友愛を意味する街の名―で展開される裁判の行方を描いたドラマ。
ニューヨークの金融業界で働くハーヴィー・ミルク。彼は20歳も年下の青年スコット・スミスと出会い、恋に落ちる。変化を求めた二人は、自由な雰囲気の西海岸、サンフランシスコに移住し、同性愛者が多く住むカストロ地区でカメラ店を開いた。彼の陽気な人柄に引き寄せられ、店はゲイたちの社交場となっていくのだが、彼らをはじめとした社会的弱者たちが抱える問題を目の当たりにしたミルクは、それらを改善するための活動を始める。それらを解決するのが政治であることに気づき、行政に直接関わろうと、市政執行委員選挙に立候補。リベラルな街とされるサンフランシスコではあったが、ミルクが同性愛者であることは大きな波紋を呼ぶことに…。1970年代のアメリカ。
ゲイであることをカミングアウトし、あらゆるマイノリティの社会的地位向上のために立ち上がった伝説の活動家、ハーヴィー・ミルク。その波乱に富んだ後半生を描く感動の伝記ドラマ。
1979年カリフォルニア、ゲイが集まるショーパブでパフォーマーとして働いていたルディ、ある日、アパートの隣の部屋の女性が14歳の子どもマルコを育児放棄しているのを知り、何かと子どもを気にかけるようになった。ある時、その母親は麻薬違反で刑務所行きとなり、マルコは施設に預けられた。マルコが家に帰りたいと施設を脱走したところをルディが見つけ、家に連れて帰る。
服役中のマルコの母親から子どもの保護者となる同意を得て、ルディは同性の恋人とマルコと三人で暮らし始める。一年ほど仲良く楽しく暮らし、マルコは初めて家族として暮らす幸せを感じていた。けれども、ゲイカップルが養子を育てていることを当局に密告され、裁判沙汰となる。マルコの学校の先生などの審問ののち、裁判所は同性カップルの養育は認めないとの判決を下した。
絶望と怒りの中、歌手として認められたルディは思いのたけを歌にぶつける。法的保護は皆無といえる1970年代終わりのLGBTへの偏見を描き出す作品。
内気な少年シャロン。母親は麻薬中毒で育児放棄状態。学校ではリトル(チビという蔑称)と呼ばれ、いじめの標的だった。唯一の友だちはケヴィン。いつしか彼に友情以上の感情を抱き始めていくのだが…。貧困の中に生まれ、自らのセクシャリティに悩む孤独な黒人少年が、アイデンティティと居場所を探し求め、苦しみながら成長していくさまを描き出した人間ドラマ。
バレリーナになることを夢見る15歳のララ。晴れて難関のバレエ学校への編入が認められた。しかし、彼女は男性の体であることへの違和感とコンプレックスに苦しむトランスジェンダー。周囲の好奇の目にも負けずに、厳しいレッスンに打ち込むことができたのは。理解ある父親あってこそ。ホルモン療法が期待するほどの成果をあらわさず、焦燥感がつのっていく。本格的な性別適合手術は18歳まで待たなければならない…。
バレリーナを目指すトランスジェンダーの少女の葛藤と、男手ひとつで彼女を育てるシングルファーザーの父親、二人の絆を丁寧に描いた感動の人間ドラマである。
19世紀末のロンドンはイースト・エンド。21歳の青年ジョン・メリックは、その容姿から「エレファント・マン」と呼ばれ、見せ物小屋で晒し者にされていた。ある日、外科医フレデリック・トリーブスの目にとまり、研究のために病院へと呼び寄せられたジョン。研究発表や雑誌紹介によって注目を集めるのだが、彼自身は大衆の好奇と同情の入りまじった眼差しを受けながらも、普通の人間として生きることだけを切望していた。人間ドラマではあるが、人権など絵空事でしかなかったあの時代の残酷さ、そしてモノクロ映像の描き方など、ホラー映画と見まごうばかりだ。
刑務所の強制労働から逃れるため、精神異常を装ってオレゴン州立精神病院に入った主人公。しかし、そこで行われている管理体制に反発を感じ、絶対的な権力を誇る婦長と対立しながら、入院患者たちの中に生きる気力を与えていくのだったが…。
1960年代の精神病院を舞台に、人間の尊厳と社会の不条理を、体制に抵抗する男の姿を通して描いたK・キージーのベストセラーの映画化。
千曲川のほとりにある学校で教鞭を取る瀬川丑松。父親の「決して身分を明かしてはならない」という教えを守り、親友や思いを寄せる女性にさえ、被差別部落の出身者であることを隠して生きてきた。代議士の高柳が丑松と同じ被差別部落出身の妻をめとり、丑松に「お互いに秘密を守ろう」と言ってくるのだが、丑松は「そんな女は知らない」と突っぱねてしまう。
部落差別の問題を真正面から取り上げた、島崎藤村の原作の映画化。初めは東宝で制作が進行するも、争議のために中止、松竹が後を引き継いだ。
自由と平等
そして人権の尊重
それは―
今日、新憲法によって保証されたとはいえ、しかも尚、封建時代の亡霊が、我々の周囲につきまとってはいないだろうか
部落差別はなくなったのか?性差別、民族差別、障がい者差別、学歴差別、思想信条による差別、貧富による差別はどうだ?オープニングの文字が、この映画の主旨をよく表している。
会津磐梯山の麓の農村を舞台に、戦後日本にまだ残る差別を真正面から描いたドラマ。小学六年生のキクと四年生のイサムは黒人と日本人のハーフ。今日ならアフリカ系とアジア系のダブルと言う言葉もあるが、当時はそういう呼び方だったし、それが長く続いたことを私たちは知っているし、知らなくてはならないだろう。そんな二人を育てるのは祖母のしげであった。
町へ出れば好奇の目にさらされ、学校へ行けば「クロンボ」と罵られる二人。ある日、カメラを持った男が村を訪れ、イサムの写真を撮っていった。気になったキクはしげにそのことを告げるが、しげは姉弟のどちらかを養子縁組に出すと言い出す。いったい…。水木洋子の脚本を今井正が監督して映画化、人権をテーマにした作品を送り出す黄金コンビである。私たちの社会から差別はなくなったのだろうか。
明治末期の奈良。耕作地の狭い小森部落は草履作りで農村経済を支えていた。日露戦争で父を亡くした小学生の誠太郎と孝二の兄弟は、彼らを取り巻く部落民に対する差別感情の中、母ふでのもとで暮らしている。ある日、部落が火事になったが、消防団は小森部落だからと無視するのだった…。
住井すゑの長編小説を映画化した社会ドラマ。被差別部落の人々の苦難の歴史を、彼ら・彼女らの日常生活に焦点をあてながら描いている。
誠太郎は大阪の米問屋で奉公、高等科を卒業した孝二は靴職人になっていた。軍国主義への道を進む日本、米価は高騰し、全国的な「米よこせ」運動は小森部落にも波及する。封建的な差別と貧困を打破するため、彼らは全国水平社を結成する。
住井すゑが明治・大正期における被差別部落を描いた小説の映画化。1908年、奈良の被差別部落である小森に生まれた畑中誠太郎と孝二の兄弟。父親を日露戦争で亡くし、凜とした祖母ぬいと、やさしい母ふでに育てられるのだが、学校では部落出身ゆえに教員や他の生徒たちからイジメを受け…。
過去に朝鮮人少女を妊娠させながら逃げた宇南、今は医者として佐世保で診療所を開いている。患者の中に原爆病と思われる少女がいた。しかし、娘の母親は差別を怖れ、それを頑なに否定。ある日、被差別部落に住む徳子が強姦の証明書を書いてほしいとやってきた。過去がよみがえり、二つの部落の間でくすぶっていた怨念と憎悪が炎を噴き上げ…。
どら春。町の小さなどら焼き屋。雇われ店長を務めるのは、ワケありの中年男。単調な毎日を送るだけの彼の前に、ある日、店で働かせてほしいという、こちらもまたワケあり風な老女が現れた。アルバイト募集の張り紙を見たのだという。76歳の年齢では無理だと、いちどは断ったのだが、彼女は自分で作ったあんを持って再度あらわれた。口してみると、なんとこれが絶品。二人のコンビが作るどら焼きはたちまち評判となり、店は行列のできる人気店になったのだが…。二人の心の交流と、次第に明らかになっていく老女がたどった過酷な人生を優しく見つめる人間ドラマ。ドリアン助川による同名小説を、樹木希林と永瀬正敏を軸にした充実の配役で映画化。必見。
1931年、形質人類学の研究目的で北海道大学医学部の研究者が浦河町、杵臼共同墓地からアイヌの遺骨を持ち去った。2012年、アイヌのエカシとフチが持ち去られた先祖の遺骨について話し合うため、北海道大学の総長に面会を求めたが…。
アイヌとして生き、一度はコタンの地に眠った12人の先祖の遺骨を取りもどし、新たにクワを立て、アイヌプリで再び埋葬するまでの記録。
(商品説明から)