たちあがれ、女たち

L’hymne des Femmes

「たちあがれ、女たち」

日本語で歌える訳詞をつけてみました。題が「女性の賛歌」では響かないので、とりあえず「たちあがれ、女たち」にしてみました。なるべく元の言葉を生かした結果ですが、日本語は一音に複数の字をあてるのが難しいので簡略化は否めません。多少は意味をくんで違う言い回しに置き換えました。

  目  次

目次の順に下に並んでいます。クリックすると跳びます。

歌詞:   フランス語/日本語(対訳)
うた:   女声ボカロ(めろう)
楽譜:   画像にて表示
楽譜:   女声3部合唱 PDF版
うた:   女声ボカロ3部合唱
メロディ: ボカロ コーラス(歌詞なし)

メロディ: ピアノ調
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1.
Nous qui sommes sans passé, les femmes
Nous qui n’avons pas d’histoire
Depuis la nuit des temps, les femmes
Nous sommes le continent noir

Refrain:
Levons-nous, femmes esclaves
Et brisons nos entraves
Debout, debout !

1.
歴史に刻まれる
こともないまま
いにしえより、女
暗闇の中

くりかえし :
たちあがれ、女
鎖を断ち切れ
たて、たて!


2.
Asservies, humiliées, les femmes
Achetées, vendues, violées
Dans toutes les maisons, les femmes
Hors du monde reléguées.

Refrain

2.
あらゆるところで
辱めうけ
売られ買われ、女
隅に追われて


くりかえし

3.
Seules dans notre malheur, les femmes
L’une de l’autre ignorée
Ils nous ont divisées, les femmes
Et de nos soeurs séparées.

Refrain

3.
孤独の苦しみに
互いも見えず
分断されし、女
ただ立ちすくむ


くりかえし

4.
Le temps de la colère, les femmes
Notre temps est arrivé
Connaissons notre force, les femmes
Découvrons-nous des milliers !

Refrain

4.
今や怒りの時
機は熟したり
力示さん、女
光もとめて


くりかえし

5.
Reconnaissons-nous, les femmes
Parlons-nous, regardons-nous!
Ensemble, on nous opprime, les femmes
Ensemble, révoltons-nous !
Refrain
Levons-nous, femmes esclaves
Et jouissons sans entraves!
Debout, debout !

5.
互いに認め合い
見つめ、語らん
抑圧の中より
反旗掲げん


くりかえし
たちあがれ、女
鎖を断ち切れ
たて、たて!


たて、われら女
自由をかちとらん
たて、たて、たて!

上の歌詞が対訳PDF版でごらんいただけます。(印刷できます。)

うた: 女声ボカロ(めろう)

女声ボカロ: めろう
上の左端の三角矢印をクリックしてください。


音声合成はNEUTRINOを使用
https://n3utrino.work/

女声3部合唱

上の楽譜(女声3部合唱)のPDF版を開く(印刷できます。)

楽譜作成はmusescoreを使用
https://musescore.org/ja

うた: 女声ボカロ3部合唱

ボカロ: コーラス(歌詞なし)

ボカロ: コーラス
上の左端の三角矢印をクリックしてください。

  

メロディー(歌詞なし): ピアノ調

メロディー: ピアノ調
上の左端の三角矢印をクリックしてください。

(しみずたけと) 2021.10.27

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たちあがれ、女たち(変ホ長調)

L’hymne des Femmes

このページは『たちあがれ、女たち』(ト長調)の変ホ長調バージョンです。ト長調では音程がちょっと高過ぎて歌えないという方はこちらを利用してみてください。ト長調バージョンとは曲の雰囲気も変わりますから、お好みでどうぞ。

  

目  次

目次の順に下に並んでいます。

下のそれぞれの項目をクリックすると当該位置に跳びます。

歌詞:   日本語
うた:   女声ボカロ3部合唱
楽譜:   女声3部合唱 画像にて表示
楽譜:   女声3部合唱 PDF版
メロディ: ピアノ調(歌詞なし)
メロディ: ボカロ・コーラス(歌詞なし)

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「たちあがれ、女たち」日本語歌詞

日本語で歌える訳詞をつけてみました。題が「女性の賛歌」では響かないので、とりあえず「たちあがれ、女たち」にしてみました。なるべく元の言葉を生かした結果ですが、日本語は一音に複数の字をあてるのが難しいので簡略化は否めません。多少は意味をくんで違う言い回しに置き換えました。


1.
歴史に刻まれる
こともないまま
いにしえより、女
暗闇の中

くりかえし :
たちあがれ、女
鎖を断ち切れ
たて、たて!

2.
あらゆるところで
辱めうけ
売られ買われ、女
隅に追われて

くりかえし

3.
孤独の苦しみに
互いも見えず
分断されし、女
ただ立ちすくむ

くりかえし

4.
今や怒りの時
機は熟したり
力示さん、女
光もとめて

くりかえし

5.
互いに認め合い
見つめ、語らん
抑圧の中より
反旗掲げん

くりかえし:
たちあがれ、女
鎖を断ち切れ
たて、たて!


たて、われら女
自由をかちとらん
たて、たて、たて!


  

うた:女声ボカロ3部合唱


  

上の楽譜(女声3部合唱)のPDF版を開く(印刷できます。)

楽譜作成はmusescoreを使用
https://musescore.org/ja

メロディー(歌詞なし):ピアノ調

メロディー: ピアノ調
上の左端の三角矢印をクリックしてください。

  

メロディー(歌詞なし): ボカロ・コーラス

メロディー: ボカロ・コーラス
上の左端の三角矢印をクリックしてください。

(しみずたけと) 2021.10.25

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女性の賛歌

L’hymne des Femmes

以前の「沼地の兵士の歌」で紹介した“L’hymne des Femmes”という歌です。直訳すると「女性の賛歌」。

1971年3月に女性解放運動(MLF)の活動家で、モニク・ヴィティグとアントワネット・フーケらを中心にした「ヒナギク」というグループによって作成された歌です。3月8日の国際女性デー、フランス語圏ではよく歌われます。

―  目  次  ――

目次の順に下に並んでいます。

フランス語歌詞#39

うた(動画): ジョリ・モーム
うた(動画): フランス語歌詞表示
うた(動画): 39人の歌手による合唱
うた(動画): 女子 World Cupサッカーでの観戦者の合唱

――――――――――――――――

ジョリー・モームの野外コンサート

 


曲に合わせてフランス語歌詞が表示されます。


こちらは2018年11月24日、世界的な#Me Too運動の中でおこなわれたパリでの大行進の前夜に39人のミュージシャンによって歌われた時の風景

2019年の女子ワールドカップ・サッカー、フランス大会。レンヌFCの本拠地、ラ・ルート・デ・ロリアンでチリ対スウェーデン戦がおこなわれた6月11日。レンヌ市長の提唱によって会場で600人が歌声を響かせ、8万の観戦者が総立ちでこたえました。

(しみずたけと) 2021.10.27

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ジョリー・モーム

ジョリー・モーム、『歌は何のために』のDVDでご存じの方も多いと思いますが、私の大好きなフランスのパフォーマンス集団です。味のある男たち、チャーミングな女たち、みんな歌がうまく、芸達者。鋭い、しかしウィットに富んだ権力批判、平和と人権の追求はフランスならではのもの。彼ら・彼女らの歌の多くは革命歌や反戦の歌、レジスタンス賛歌、抑圧された者や虐げられた人々への応援ソングです。“Jolie Mome”で検索すれば、YouTubeに多数の動画が見つかります。フランス語がわからなくても楽しめるものばかりです。


オープニングで歌われることが多い
La Lutte en Chantant   ― 歌で戦う
(動画は2014年)

La Lutte en Chantant

Si nous descendons la rue en chantant
Notre drapeau rouge dans le vent
C’est pas seulement qu’c’est l’printemps
Mais c’est qu’il est bien vivant.

A la bourse l’argent produit de l’argent
Et pourtant la précarité s’étend
Prenez garde, oh ! Bonnes gens
Pendant qu’il est encore temps
Prenez garde, oh ! Bonnes gens
Pendant qu’il est encore temps.

Ils construisent l’Europe des marchands
Euro-Disney-land en avant !
Des Mickeys pour les enfants
Le RMA pour les grands
Des Mickeys pour les enfants
Le RMA pour les grands

Leurs méthodes ne datent pas d’hier
Ils laissent grandir la misère
Puis ils nous préparent la guerre
Ils la disent humanitaire
Puis ils nous préparent la guerre
Encore une der des ders

Si nous descendons la rue en chantant
Notre drapeau rouge dans le vent
C’est pas seulement qu’c’est l’printemps
Mais c’est qu’il est bien vivant
C’est pas seulement qu’c’est l’printemps
Mais c’est qu’nous sommes bien vivants





今回どうしても紹介したいのが L’hymne des Femmes 「女たちよ、たちあがれ。鎖を解き放て」、1971年3月に女性解放運動(MLF)の活動家によって作成された歌です。

2019年の女子ワールドカップ・サッカー、フランス大会。6月11日のチリ対スウェーデン戦がおこなわれたレンヌFCの本拠地、ラ・ルート・デ・ロリアンでのこと。レンヌ市長の提唱で600人が歌声を響かせ、8万の観戦者が総立ちでこたえました。日本にはない光景です。

歌詞の和訳は →  こちらです。

L’hymne des Femmes

Nous qui sommes sans passé, les femmes,
Nous qui n’avons pas d’histoire
Depuis la nuit des temps, les femmes,
Nous sommes le continent noir

Refrain:
Levons-nous femmes esclaves
Et brisons nos entraves
Debout, debout, debout !

Asservies, humiliées, les femmes,
Achetées, vendues, violées,
Dans toutes les maisons, les femmes,
Hors du monde reléguées.

Refrain



Seules dans notre malheur, les femmes,
L’une de l’autre ignorée,
Ils nous ont divisées, les femmes,
Et de nos sœurs séparées.

Refrain

Le temps de la colère, les femmes,
Notre temps, est arrivé,
Connaissons notre force, les femmes,
Découvrons-nous des milliers !

Refrain

Reconnaissons-nous, les femmes,
Parlons-nous, regardons-nous,
Ensemble, on nous opprime, les femmes,
Ensemble, Révoltons-nous !

Refrain

ジョリー・モームの公式サイト → https://cie-joliemome.org/

< CD >

ジョリー・モームは映像の方が絶対に楽しいし、できれば生で見たいところなのだが、無いものねだりをしていてもはじまらないので、とりあえずオーディオCDを紹介する。ただ、amazonやHMV、TOWER RECORDSは扱っていないし、置いている店もない。ジョリー・モーム大好き人間はけっこういるみたいなのに、本当に残念だ。ここでは《9j音楽ライブラリー》にある6枚のアルバムとその収録曲を記しておく。

(1) Jolie Môme
(2) Rouge Horizon

1. La Lutte En Chantant
2. Chronique
3. Elluard À Riffaud
4. L’internationale
5. Solidarité
6. Extrait du “Tableau Des Merveilles” de J. Prévert, dit par Maman
7. La Semaine Sanglante
8. Marcos
9. Le Temps Des Cerises
10. Le Temps Perdu
11. 32 Heures
12. Dédicasse

1. L’insurgé
2. Exiger Un Toit
3. Paris Ma Rose
4. L’âge D’or
5. Avenu Du Dragon
6. Chacun De Vous Est Concerné
7. Chanson Dans Le Sang
8. Les Coeurs Purs
9. Le Train
10. Coeur De Docker
11. Chanson De Craonne
12. Sans La Nommer


(3) Pendant C’Temps Là…
(4) Légitime colère

1. Pendant c’temps là
2. Le drapeau rouge
3. Est-ce-ainsi que les hommes vivent
4. Monsieur William
5. Vingt ans
6. C’est le printemps
7. Appel du comité central de la Garde Nationale, le 25 mars 1871
8. La canaille
9. Air d’origine
10. Cette fois cay ets il est a nous le pouvoir
11. La Commune enfant
12. Humanisme et démocratie
13. Lettre de Y. Koita et F. Tounkara
14. Les poêtes
15 Thank you satan
16. La belle étoile
17. Quand les hommes vivront d’amour

 1. Ne te trompe pas de colère
2. Charonne
3. Mac do Mac Strike
4. Son bleu
5. A las barricadas !
6. Tout allait bien
7. Toulouse
8. Les majoritaires de la terre
9. Les feuilles mortes
10. Utile
11-12. Donner ensemble l’espoir
13. La lutte en chantant
14. Rue








(5) Basta ya
(6) Parole de mutins

1. Ya basta!
2. Si loin, si proche…
3. Manifestation pacifique
4. Le mouton noir
5. Ils arriveront quand même…
6. Adieu, le 12…
7. Partie de campagne
8. Juillet 1936
9. Comme à Ostende
10. Ça gaze
11. Sans la nommer



1. Les pirates
2. L’hymne des femmes
3. Si j’avais su
4. C’est dans la rue qu’ça s’passe
5. La crise
6. Ébullition
7. Big brother
8. Ouch ouille aïe aïe
9. Si tu vois le père noël
10. Près de chez moi
11. Son de la barricada
12. Démocratie policière
13. Les nouveaux partisans
14. Lilith

::: 収録されているアルバム :::

コミューン万歳 →(3)
歌は何のために →(4)
マクドのマック・ストライキ →(4)
路上で歌う →(4)
すべてがうまくいっていたのに! →(4)
バリケードへ!(ワルシャワ労働歌) →(4)
名前を明かさず →(2)(5)
インターナショナル →(1)
歌で戦う →(1)(4)
女性の賛歌 →(6)

DVD「歌は何のために」には上記の10曲の内の8曲が収録されています。この8曲の和訳はこちらのPDFファイルでごらんいただけます。

「沼地の兵士の歌」 記事へ

(しみずたけと)  2020.4.27  追加 2021.10.28

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パルチザンの歌

Le chant des partisans


抵抗の歌の中で、CD“Les Chants de la Liberte”を紹介したことがある。その中にある「パルチザンの歌」について、少しだけ補足しておきたい。

第二次大戦中のフランス。レノー内閣の国防次官兼陸軍次官に任命されたシャルル・ド・ゴール(1890~1970年)は、1940年、ドイツによるフランスへの軍事侵攻に対するイギリスの協力を得るために渡英。チャーチル戦時内閣と交渉する中、6月15日に首都パリが陥落してしまう。ド・ゴールはそのまま亡命し、ロンドンに亡命政府「自由フランス」を設立、フランス国民に対独レジスタンスと、ドイツの傀儡であるヴィシー政権への抵抗を呼びかけた。この「パルチザンの歌」は、当時の抵抗歌のひとつである。

多数ある自由フランスの歌の中で、「パルチザンの歌」は最も普及し、広く歌われた。今では「ラ・マルセイエーズ」に次ぐ第二国歌のように扱われている。初めは、なんとロシア語の歌だったのだが、それは作者のアンナ・マルリー(1917~2006年)がロシア亡命貴族の娘だったからである。彼女はロンドンで自由フランスに参加し、1941年にこの歌を作った。

やはりロンドンに逃れ、自由フランスに加わったジョゼフ・ケッセル(1898~1979年)と彼の甥のモーリス・ドリュオン(1918~2009年)がこの歌を聴き、フランス語の歌詞に置き換えたのが、今日まで伝わる「パルチザンの歌」である。かなり手が加えられており、ロシア語の歌詞とはだいぶ違う。訳詞と呼ぶのには躊躇いがあるのだが、原詞を書いたアンナ・マルリーをはじめ、多くの歌手によって歌い継がれてきた。

フランス国歌「ラ・マルセイエーズ」の歌詞ほど血なまぐさくはないが、かなり過激な内容ではある。しかし、当時のせっぱ詰まった状況を背景に、有無をいわさず抵抗に立ち上がらざるを得なかった民衆の心情を反映し、仲間を鼓舞するためだったと思えば、現代に生きる私たちが批判するのは筋違いだろう。とはいえ、この種の歌を歌うのがふさわしいかどうかは、いつでも熟慮が必要だ。帝国主義国となったフランスが、植民地で「ラ・マルセイエーズ」を歌うなど、三色旗を掲げるのと同様、本来の趣旨からはまったく乖離している。

「ラ・マルセイエーズ」を引き合いに出したので、こちらについても・・・

あまりにも戦闘的かつナショナリスティックな歌詞であるがゆえに、今日、「ラ・マルセイエーズ」は、むしろ反動的な保守派が好むものとなっている。たとえば、ルペン親子が率いる極右勢力の国民戦線は、盛んに歌いながら移民排斥を訴えてきた。一方、ワールドカップ・サッカーで、フランスチームの主将ジネディーヌ・ジダンは、キックオフ前の国歌斉唱の場面で歌うことをしなかった。アルジェリア出身で、アルジェリア独立戦争を記憶している人間として、同歌が歪んだ形で使われてきたことを知っているからだろう。

フランスでも「ラ・マルセイエーズ」の歌詞を見なおそうという動きが起きている。しかし、これほど同国の民主主義を象徴している歌もまたないだろう。フランスは、歴史的に革命や戦争を通して、言い換えれば「血を流す」ことによって、ひとりひとりの自由と尊厳を獲得してきた国なのだから。ただし、今のフランスは「ラ・マルセイエーズ」によって鼓舞しなければならないような国家的存亡の危機にあるとはいえない。

「ラ・マルセイエーズ」も「パルチザンの歌」も、ただ格好良いなどと、軽い気持ちで歌ってほしくないと思うのは、決して私だけではあるまい。


パルチザンの歌
LE CHANT DES PARTISAN

Ami, entends-tu le vol noir des corbeaux sur nos plaines?
Ami, entends-tu les cris sourds du pays qu’on enchaîne?
Ohé! partisans, ouvriers et paysans, c’est l’alarme!
Ce soir l’ennemi connaîtra le prix du sang et des larmes!



友よ、見える? 飛び交うカラスの黒々した群が
友よ、聞こえる? 国民(くにたみ)の声なき叫びが
おゝ、パルチザン、労働者、農夫たち お告げよ!
今宵、敵は知ることになるわ 血と涙の代償を!

Montez de la mine, descendez des collines, camarades!
Sortez de la paille les fusils, la mitraille, les grenades.
Ohé, les tueurs à la balle ou au couteau, tuez vite!
Ohé! saboteur, attention à ton fardeau: dynamite!



坑道を上がるのよ、丘を降りるのよ 仲間たち!
藁から取り出すのよ 銃を、散弾を、手榴弾を
おゝ、銃やナイフを手にした殺し屋ども 殺(や)るのよ!
おゝ、破壊工作班 ダイナマイトに気をつけて!

C’est nous qui brisons les barreaux des prisons pour nos frères,
La haine à nos trousses et la faim qui nous pousse, la misère.
Il y a des pays ou les gens au creux de lits Font des rêves;
Ici, nous, vois-tu, nous on marche et nous on tue, nous on crève.



私たちよ 兄弟たちのため、監獄の鉄格子を破るのは
私たちにつきまとう憎しみ、飢え、貧困
寝床で夢を見ていられる国だってあるのに
ここでは踏みつけられ、殺されかねないわ

Ici chacun sait ce qu’il veut, ce qui’il fait quand il passe.
Ami, si tu tombes un ami sort de l’ombre a ta place.
Demain du sang noir séchera au grand soleil sur les routes.
Sifflez, compagnons, dans la nuit la Liberté nous écoute.



ここでは誰もがわかっているわ やるべきことを
友よ、あんたが倒れても 誰かが引き継ぐわ
路上の血だまりも 明日の太陽が乾かすのよ
口笛を吹きなさい 今宵、自由は私たちの声を聞くはずよ

Ami, entends-tu le vol noir des corbeaux sur nos plaines?
Ami, entends-tu les cris sourds du pays qu’on enchaîne?
Oh oh oh oh oh oh oh oh oh oh oh oh oh oh oh oh…


友よ、見える? 飛び交うカラスの黒々した群が
友よ、聞こえる? 国民(くにたみ)の声なき叫びが
オーオーオー…


日本語訳に「女ことば」を使ったのは、原作者のアンナ・マルリーが女性だからである。しかし、フランス語には「女ことば」とか「男ことば」というものはないから、なんとなく違和感も感じられよう。別の言語に置き換えるというのは、異なる文化に無理やりはめ込む行為にほかならない。

日本語において、性による言葉遣いの違いが、いつ、どうして始まったのかには諸説ある。明治以後は、「女らしさ」「男らしさ」という言葉に代表されるように、性による役割分担や倫理・政治的価値をともなった言語的イデオロギーとも呼ぶべき文化体系があらわれ、多様性を否定する社会へと導いていった。これが富国強兵、膨張主義を推進する国家権力にとって好都合だったからこそ、ジェンダーをプロパガンダに取り込み始める。「銃後」や「靖国の母」など、まさしくそれである。

戦後の新憲法のもと、男女は平等とされたはずであるが、その実現には道半ばである。昨今の政治家の発言など、そう思わざるをえない。これからどうなるのかわからないが、21世紀前半における言葉の文化を映すものとして、この訳の「女ことば」を捉えてほしい。

【ロシア語】パルチザンの歌
Песнь партизан
Anna Marly


LE CHANT DES PARTISANS
Anna Marly


(しみずたけと) 2021.6.7