GREEN KIDS:4世ラッパー

GREEN KIDS, 曲名は E.N.T East New Town 団地のある東新町の頭文字だ。

GREEN KIDS, 彼らは日系4世ラップグループ。 静岡県磐田市の東新町団地出身。彼らは日本語でラップする。

6人のメンバーの内、日系ブラジル人4人、日系ペルー人ひとり、日本人ひとりで、5人は外国籍だ。ふたりを除いて他は日本で生まれ、日本の学校に通った。自分たちは文化的に日本人だと感じている。

が、外国籍の彼らは法的には「ガイジン」、社会的にも「ガイジン」扱いされてきた。今、差別と貧困と夢を歌に乗せる。

「俺たちは人からよく言われてきました。『お前たちは良くない。お前たちのやっていることはまったくなっていない』って」

日本人がブラジルに移住したのは1900年代の始め。彼らはブラジルの中産階級を形成した。1980年代に入った頃にブラジルから「出稼ぎ」に来日する日系人が増えた。日本政府が1990年に出入国管理法を改正したため、地方の工場などで働く日系人が増えた。磐田市もそのひとつだった。

次第に彼らの仕事は日本人に取って代わられ、2008年の世界経済危機の際に多くが解雇され、貧困に陥り、残りたくともブラジルに帰らざるを得なくなった。

日本にとどまった日系ブラジル人の子どもたちには日本語が満足に話せない子もいて、学校で差別され、学校をやめた子どももいた。

「外国人だからって警察に止められるんですよ。ただ歩いているだけなのに」「俺たちが薬を持ってるんじゃないかと疑ってるんです。職質されたときには、車中を探し回され、靴を脱げとか帽子を取れって言われることもあります」

2018年に入国管理法が改正された。日系ブラジル人3世は永住権を申請できるのに対して、4世には申請権がない。GREEN KIDSのメンバーは4世だ。

日本の社会はブラック・ライブズ・マターを遠い国のことで、自分たちには関係がないと思っている人が多いようにみえる。でも、移民たちは日本でのサポートを必要としている。特に教育システムでのサポートを必要としていることは念頭においたほうがいいね。

GREEN KIDS  曲名は Real Daily
「まだ本気でかなえてみせる夢。仲間と朝までたむろしてたコンビニ前。いまさら1人じゃ何もできない俺だけど。君たちには伝えたい」 と歌う。

2020.9.30   Ak.

メルケル首相【憎悪表現】に決別

ミネアポリスでの警官による人種差別殺人に呼応してか、去年2019年11月に連邦議会でメルケル首相が行った力のこもったスピーチが、2020年5月、6月の今、再び注目を浴びています。はっきりとはわかりませんが、Pablo Perezという人が演説の一部を切り取って5/29にツィートしたのが発端のように見えます。Pablo Perez Armenteros はベルギー在住のジャーナリストで、EUのソーシャルメディア部門の長をしていた人とのことです。

その後、カナダで30年間人気のニュース番組のアンカーを務めたPeter Mansbridgeが追随しています。

この下の動画がそうです。ドイツ議会ですから、ドイツ語で演説していますが、動画内に英訳が付いています。

ほれぼれします!

We have freedom of expression in our country.

For all those who claim that they can no longer express their opinion, I say this to them: If you express a pronounced opinion, you must live with the fact that you will be contradicted. Expressing an opinion does not come at zero cost.

But freedom of expression has its limits. Those limits begin where hatred is spread. They begin where the dignity of other people is violated.

This house will and must oppose extreme speech. Otherwise our society will no longer be the free society that it was.

この国には確かに表現の自由はあります。

最近は自分の言いたいことをを自由に表明することができなくなってしまったと主張する人々に言っておきたいです。:断固たる主張をするならば、反論されうるということも覚悟していなければなりません。意見を表明するには代償を支払わなければならない場合があります。

確かに人は自分の意見を自由に表明できますが、その自由には制限があります。憎悪が拡がるのを制限する必要があるからです。人の尊厳が傷つけられることがないようにしなければなりません。

国会は過激な憎悪言動(ヘイト・スピーチ)に反対しなければなりません。でなければ、ドイツ社会は、かつてそうであったような自由な社会とは言えなくなるからです。」(訳 こじま)

※かなり意訳しています。内容が損なわれていないと良いのですが。

※この動画は、もともと、DW ドイッチェ・ヴェレ(ドイツの放送局)が放送したもののようです。


この下の動画は上のと同じスピーチです。他の議員の反応など、全体の様子が見られます。(ドイツ語のみ)

この動画はRUPTLYというベルリン拠点のビデオ・ニュース・メディアが配信しています。RUPTLYは RT (旧Russia Today)の一部門で、内容的にはロシア政府から独立しているとは主張しているものの、ロシアのNPOテレビ局が単一株主になっているとのwikiの情報です。それが理由かどうかわかりませんが、この動画のぶら下がりには「メルケル、最悪!」などの否定的書き込みがどっさり見られます。

こういうリーダーがいることがほんとにうらやましい!


HPの映画紹介ページに「女は二度決断する」という映画があります。

司法と行政が正しく機能しないと 女は二度決断する 2017年・独

トルコ系の夫と小さい息子を若いネオナチ夫婦に爆弾テロで殺されたドイツ人女性が法廷で戦うドラマです。題名の「二度決断する」の意味はよくわかりません。主人公は司法はあてにならないと絶望し、自分で動き始めます。一度目は実行を躊躇し、二度目に成就するところから付けられている題名かと想像しますが、この映画の主題はそこじゃありません。

ドイツ語の原題 Aus dem Nichts は「何もないところから」、「いわれなく」です。「(殺される)理由は何もないのに」という意味だと思います。 人種が違うだけです。

ドイツのトルコ人移民は1961年に政府が労働力不足を補うためにトルコなど近隣諸国からの移民を奨励したことから始まりました。今や300万人が暮らしていると言われます。4世が誕生していることでしょう。トルコ人は、今や、ドイツ人がいやがった職業に就労しているだけでなく、他のさまざまな職業に従事しています。移民統合政策に舵を取って来た政府の功かもしれません。日本に住む人が想像することができないほど、トルコ人はドイツ社会に深く根を下ろしています。

けれども、2015年から始まったシリア難民の大量受け入れを機にドイツ社会で外国人排斥が表面化して来ました。昨秋(2019年)の各州議会選挙で極右政党のひとつAfD (ドイツのための選択肢) が議席を増やしたのはまだ記憶に新しいことです。

当のドイツにおけるトルコ人社会も排斥を目の当たりにして、エルドアン政権に拠り所を求めたりするようになっているようです。もともと、ドイツでのトルコ人社会の結束は強いものであり、若い人ですら、自分の祖国はどちらであるのか模索している人が多いと聞きます。

同じく「映画の紹介」ページにて紹介している映画

「みんないっしょ」の陶酔感  THE WAVE ウェイヴ 2008年・独 の中で、

高校生の同級生仲間が「ぼくらドイツ人は」と発言した時に、「ぼくはトルコ人だけど」と言っていたのが興味深かったです。この映画のテーマは人はなぜ独裁を許してしまうのかです。それを学ぶために始めた高校の授業と生徒たちの反応が描かれる物語です。

人々の憎悪は新たな難民にだけでなく、これまで社会に深く根を下ろしてきたトルコ人社会にも向けられてきているようです。それが、上に書きました映画「女は二度決断する」の背景です。

ただ、コロナ禍の中、人々の目は現政権のリーダーシップに向けられ、AfDなどの極右勢力は力を失いつつあるというニュースを見ました。良い兆候です。メルケルなくしてこの状況が生まれたかどうかは定かではありませんが。

さて、この国でわたしたちがやるべきことは?

Ak.