替え歌、万歳! 沖縄 今こそ立ち上がろう

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 うかうかしているうちに五月が過ぎてしまった。「あゝ!パリの美しき五月!」を歌いそびれた。なんたること!この歌がつくられたのは50年以上も前。振り返って思うこと。世界は、人類は、はたして進歩したのだろうか?

 歌詞を追ってみる。いま歌っても全く違和感のない内容。たかだか半世紀では進歩しないということか。生物学的にはそうかもしれないが、社会はずいぶん変わった。ユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』を読むと、文明は加速度的に早く推移していることがわかるのだが、なんだかネガティヴな、良くない方向へ進んでいるとしか思えない。私たちは本当にホモ・サピエンス(知恵ある人)なのか?

 学問の世界では、ホモ・ファーベル(工作人)、ホモ・ルーデンス(遊戯人)、ホモ・ポリティコス(政治的人間)、ホモ・エコノミコス(経済的人間)など、人間とは何であるかの定義づけを多角的な視点からおこなってきた。しかし…、である。ウクライナ戦争やパレスチナのガザ、国内では沖縄で起きていることなどを見るにつけ、どの定義づけも当てはまるようには思えないのだ。世界に悲しみと苦悩をばらまいているのは誰か?これらは政治的な結果なのか?富を得たいがための経済的行為のせいなのか?何か違う。ホモ・ラシスタス(人種差別人)とかホモ・ミリタリス(軍事的人間)とでも呼ぶべきものが存在しているせいなのではないのか。

 フランスを揺るがし、政策を転換せしめた1968年5月のゼネスト。学生、労働者、市民が一体となった民衆蜂起だった。その象徴があの「あゝ!パリの美しき五月!」である。人類社会は決して良くなっていない。裏を返せば、今よりもっと良くなる可能性を秘めているということでもある。歌いながら前へ進もう、もっと良い未来を目指して。

 いま、沖縄でこのメロディが流れている。辺野古や高江で新基地の建設を反対する人たちが歌っているのだ。抗議行動を牽引する山城博治さんによる「沖縄 今こそ立ち上がろう」である。替え歌などと馬鹿にしてはいけない。アメリカの国歌「星条旗」は、独立戦争の時代に英国で流行していた「天国のアナクレオン」という流行歌の替え歌であるし、フランス国家の「ラ・マルセイエーズ」も、元は「ライン軍の歌」という軍歌であった。むしろ民衆の抵抗歌であった「あゝ!パリの美しき五月!」をルーツに持つこちらの方が、出自からしてはるかに上等だと言えよう。

さあ、ウチナンチュだけでなく、ヤマトンチュも一緒に歌おう!歌は力のないものの武器である。弱さを武器にして闘おうではないか!

沖縄 今こそ立ち上がろう
【作曲】ジャン=フレデリック・ブロサール
【作詞】山城博治

沖縄のみちは 沖縄が拓く
戦さ世(いくさゆ)を拒み 平和に生きるため
今こそ立ち上がろう 今こそ奮い立とう


辺野古の海を 守り抜くために
圧政迫るが 立ち止まりはしない
今こそ立ち上がろう 今こそ奮い立とう

高江の森を 守り抜くために
力を合わせて スクラム固めよう
今こそ立ち上がろう 今こそ奮い立とう
 
島々の暮らしを 守り抜くために

思いを巡らせて 心を通わそう
今こそ立ち上がろう 今こそ奮い立とう

歌え自由の歌を 届け空の彼方へ
この青空の下に 人は生きてゆく
今こそ立ち上がろう 今こそ奮い立とう


 

座り込めここへ
【作詞・作曲】今村一男
【補作詞】辺野古ゲート前の市民たち

座り込めここへ ここへ座り込め
腕組んでここへ ここへ座り込め
ゆさぶられ つぶされた隊列を
立て直す時は今
腕組んでここへ ここへ座り込め


座り込めここへ ここへ座り込め
歌うたいここへ ここへ座り込め
ゆさぶられ つぶされた団結を
立て直す時は今
歌うたいここへ ここへ座り込め


座り込めここへ ここへ座り込め
旗掲げここへ ここへ座り込め
ひきずられ 倒れても 進むべき
道をゆく時は今
旗掲げここへ ここへ座り込め

座り込めここへ 辺野古ゲート前バージョン HOUSE EDIT

::: C D :::

《 座りこめここへ 沖縄 今こそたちあがろう
~たたかいとともに歌はある~ 》

収録曲 》

1. 座りこめここへ(辺野古バージョン)詩・曲=今村一男
  歌:YASU(リード)+N1ゲート前テントの仲間たち
  録音:2016.7.26 孝江ヘリパッド建設予定地N1ゲート前テント


2. 沖縄今こそ立ちあがろう 詩=木島三夫 替えうた=山城博治
  パリ5月革命ドキュメンタリー映画『叛乱(邦題)』より
  歌:山城博治(リード)+N1ゲート前テントの仲間たち
  録音:2016.7.20 孝江ヘリパッド建設予定地N1ゲート前テント


3. 座りこめここへ(日音協オリジナル)詩・曲=今村一男
  歌:日本音楽協議会全国代表者会議参加者
  伴奏:松本敏之(ギター)、森理子(アコーディオン)


4. 俺たちの道は(日音協オリジナル)詩=木島三夫
  パリ5月革命ドキュメンタリー映画『叛乱(邦題)』より
  歌:日本音楽協議会全国代表者会議参加者
  伴奏:松本敏之(ギター)、森理子(アコーディオン)


5.
座りこめここへ・カラオケ
  伴奏:松本敏之(ギター)、森理子(アコーディオン)

6. 沖縄今こそ立ちあがろう(俺たちの道は)・カラオケ
  伴奏:松本敏之(ギター)、森理子(アコーディオン)


7. ジュゴンがすむ海(日音協オリジナル)詩・曲=瓦井孔二
  歌:坂口美日、瓦井孔二 伴奏:松本敏之(ピアノ)


(しみずたけと) 2025.6.3

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バスで巡りたい沖縄

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 『清ら島 沖縄』というDVDを見た。島の美しい自然と人情だけでなく、沖縄戦の傷痕と基地による苦しみも描かれていた。いつも同じではないかという人がいるかもしれない。私も同感である。その理由は簡単だ。なにしろ、ずっと変わっていないのだから…。

 もう何度も足を運んでいる沖縄だが、観光らしい観光をした記憶がない。摩文仁の丘やひめゆり祈念館は、観光地というよりは、慰霊碑に手を合わせ、歴史のお勉強に行くところだし、ビーチで遊ばずに辺野古の浜に座り込み、海のダイビングではなくガマ(壕)に潜るのが常だった。観光スポットは、せいぜい首里城や美ら海水族館くらいだろうか。地上戦の痕跡と基地、過去の悲劇と現在の苦悩が交わるところ、そしてヤマトの責任。それが私にとっての沖縄のイメージなのだから仕方がない。その合間に飲み食いし、あの独特な墓を見て回ることがあるにしても…。

 沖縄には飛行機で行く。それが現実的な選択肢だから。そこから先の足はいつも車だ。公共交通は、私の行きたいところへは運んでくれない。やむなくレンタカーを利用する。しかし…、だ。沖縄に住んでいる人が同乗しているならともかく、自分たちだけだと、移動中の情報収集は車窓からの眺めだけになる。沖縄で何が起きているか、今の情勢をリアルタイムに知りたければ、現地に友だちを持っておいた方がいい。一人だと退屈でもあるし…。

 そんなことを考えていたら、那覇の国際通りにある高良レコード店で買ったCDのことを思い出した。《バスガイドが歌う沖縄のうた》。収録曲は沖縄音楽のスタンダード・ナンバーばかり。誰もが知っている沖縄民謡、琉球歌謡、ネーネーズや喜納昌吉のヒット曲も含まれている。通俗的といってしまえばそれまでだが、歌い手が実にユニーク。いや、スゴいというべきか。

 歌っているのは西原せつ子さんと崎原真弓さんの二人。久米島出身の姉妹らしいが、現役のバスガイドである。お姉さんの西原せつ子さんはバスガイド養成にも関わるベテラン。崎原真弓さんと行くバスツアーは毎回参加希望者が殺到し、修学旅行のガイドは二年先まで予定が入っているというカリスマ・スーパーバスガイドである。

 名所や旧跡、景勝地の案内の合間に聴かせてくれる沖縄の歌、琉球カラテの演武、おばぁの姿に扮して涙ながらに語る沖縄戦。華やかな伝統芸能と美しい自然だけでなく、沖縄の悲痛な歴史をも伝える。上澄みの楽しさだけでなく、その土地の本質をつかんでもらう、それこそが真の“おもてなしの心”というものだ。

 バスガイドはバス会社の社員であるから、所属する会社のバスにしか乗車できない。退職してフリーになっても、一社でしか仕事をしないのが普通だ。そこへ西原せつ子さんが『ひまわりバスガイド』というバスガイドの派遣組織を設立し、バスガイドひとりひとりが自由なスタイルを提供できるようにした。修学旅行の高校生と中高年のツアー、訪れる場所が同じであっても、伝え方は違っていてしかるべきだろう。教科書を読んでいるような杓子定規の観光ガイドにくらべ、ずっと楽しいと思う。

 歌のうまさはCDを聴けばわかる。曲の合間には語りもある。それでも彼女らの素晴らしさの半分も伝わらないだろう。ここはひとつ、バスツアーに乗ってみたらどうだろう。西原せつ子さんの指導を受けたバスガイドは少なからずいるようだから、良いガイドに当たる確率は高い。ツアー参加者の中には意気投合できる人もいるかもしれない。そんな出会いが人生を多少なりとも豊かにしてくれるのではなかろうか。そういえば、ここしばらく沖縄に足を運んでいない。次はバスツアーを利用してみようなどと考える今日この頃だ。


::: C D :::

《 バスガイドが歌う沖縄のうた 》

収録曲
1. 娘ジントヨー
2. 芭蕉布
3. てぃんさぐぬ花
4. 黄金の花
5. 花
6. 首里城
7. やいま
8. ゆうなの花
9. 島情
10. 安里屋ユンタ


歌・ナレーション:西原せつ子、崎原真弓

崎原真弓紹介ビデオ 2011年
てぃーだ観光 「おばぁの語り・ぬちどぅ宝篇」 崎原真弓 2022年

(しみずたけと) 2025.4.3

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ディアマンテスの「魂をコンドルにのせて」


 ネーネーズを聴いてもらったので、今度は日系ペルー三世のアルベルト城間を中心とするバンド、ディアマンテスだ。結成は1991年だから、ネーネーズと同じ頃と言うことになる。多彩なラテンのリズムは南米由来。それにルーツである沖縄、そして日本という要素が加わり、さらには活動を始めたコザという街に根付いたアメリカ的なハードロックをも交え、音楽はまさに“チャンプルー”。ラテンと沖縄、どちらも音楽大好きな土地柄、歌うことが大好きな人たちだから、オキナワ・ラティーナの看板どおり、リズミカルでマルチカルチュアリズムなポップスを聴かせてくれる。

 オリオンビールのCMソングに使われて有名になった「ガンバッテヤンド」、サッカーの応援歌として作られた「勝利のうた」など、多くの人に知られた歌がいくつもあるが、ここで選んだのは、ディアマンテスの三番目のアルバム『コンキスタ』に含まれる情熱的な一曲、「魂をコンドルにのせて」である。

 南米では、抑圧的な政権が長きにわたって人々を支配してきた。いや、それは今なお続き、民衆を苦しめている。日本から渡った日系人が多いにもかかわらず、そのことを知る人は少ない。そして沖縄もまた、本土の人が忘れ、あるいは気づかないふりをする中で、沖縄戦と基地の島という、昔も今も日本と米国による支配の下で苦しめ続けられている。

 宮沢和史とアルベルト城間による歌詞は、ペルーで起きた日本人銃殺事件をモチーフにしたものだと言うが、抑圧に苦しみながらも抵抗を続ける二つの土地をむすび、平和を祈るメッセージ性が強い。アルバムのタイトルである『コンキスタ』からは、音楽の力で世界を征服し、平和をもたらそうという意志が伝わってくる。キレの良いリズム、アルベルト城間の歌唱力と豊かな声量はもちろんだが、97年に脱退し、現在は《しゃかり》のヴォーカルである千秋によるコーラスがことのほか素晴らしい。この頃のディアマンテスは本当に充実していた。

::: 歌詞 :::

魂をコンドルにのせて

https://www.uta-net.com/song/8200/

::: CD :::

《コンキスタ》
収録曲

 1.ウチナーめんそーれ
 2.オキナワ・ラティーナ
 3.Daijyoubu
 4.セレナ
 5.このまま帰らないで
 6.片手に三線を
 7.ストップ・ザ・ボス
 8.優しさに一番近い島
 9.アバンサンド(前進)
 10.Alpacaが笑う
 11.幸せ探しにいこう

 12.魂をコンドルにのせて
 13.レイ

魂をコンドルにのせて/DIAMANTES

(しみずたけと) 2023.3.9

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ネーネーズを聴いてくれ!


 今日は国際女性デー。沖縄を代表する女性音楽グループ、ネーネーズを紹介しよう。沖縄言葉で「お姉さん」を意味するこのユニットは、1990年、知名定男によるプロデュースで結成された。初代ネーネーズは1999年に解散し、今や6代目へと世代交代しているが、その特徴的な歌声と音楽は、30年以上過ぎてもなお新鮮で耳にやさしい。

 ここにとりあげたのは、1999年11月に開かれた初代ネーネーズの《さよならコンサート》を収録したものに未発表の音源を加えたもの。吉田康子、宮里奈美子、比屋根幸乃、當眞江里子に加え、1995年に脱退した古謝美佐子もゲスト出演しているのがうれしい。

 1曲目はサザンオールスターズの桑田佳祐が作詞作曲した「平和の琉歌」。沖縄に対する私たち本土の日本人のあり方を、本土の側からクールに正直に歌うミュージシャンがいることにホッとさせられる。沖縄詞は知名定男によるもの。2曲目の「ノーウーマン ノークライ」は、国際女性デーに相応しいだろう。そのほか、定番とも言える「安里屋ユンタ」をはじめ、沖縄の南米移民をテーマにした「IKAWU」、富の追求に明け暮れる日常を問う「黄金の花」、癒やしの島を歌う「翼を休めに来ませんか」、このコンサートで発表された最後の新曲「オキナワ」など、現代社会を見据えた曲目がずらりと並ぶ。

 それにしても、有無をいわさぬ彼女らの圧倒的な歌唱力と豊かな声量はどうだ。キャッチコピーにある「姉々(ねえねえ)たちはこんなに凄かった!」に納得させられるに違いない。添えられているのは、故・筑紫哲也の「十年の軌跡を凝縮したラストライブを含む記念盤。これを最後に彼女たちは伝説となる。」という言葉。感慨ひとしおである。

::: 歌詞 :::

平和の琉歌

https://www.uta-net.com/song/9633/

ノーウーマン ノークライ

https://www.uta-net.com/song/236194/


安里屋ユンタ

https://www.uta-net.com/song/203481/


黄金の花

https://www.uta-net.com/song/23919/

::: CD :::

《オキナワ ~メモリアル・ネーネーズ~》
収録曲

 1.平和の琉歌
 2.ノーウーマン ノークライ
 3.ヨーアフィ小(ぐわー)
 4.安里屋ユンタ
 5.オキナワ
 6.遊びションガネー
 7.ウムカジ (思影)
 8.糸綾
 9.黄金の花
 10.IKAWU
 11.真夜中のドライバー

 12.翼を休めに来ませんか
 13.月ぬ美(かい)しゃ


(しみずたけと) 2023.3.8

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