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『清ら島 沖縄』というDVDを見た。島の美しい自然と人情だけでなく、沖縄戦の傷痕と基地による苦しみも描かれていた。いつも同じではないかという人がいるかもしれない。私も同感である。その理由は簡単だ。なにしろ、ずっと変わっていないのだから…。
もう何度も足を運んでいる沖縄だが、観光らしい観光をした記憶がない。摩文仁の丘やひめゆり祈念館は、観光地というよりは、慰霊碑に手を合わせ、歴史のお勉強に行くところだし、ビーチで遊ばずに辺野古の浜に座り込み、海のダイビングではなくガマ(壕)に潜るのが常だった。観光スポットは、せいぜい首里城や美ら海水族館くらいだろうか。地上戦の痕跡と基地、過去の悲劇と現在の苦悩が交わるところ、そしてヤマトの責任。それが私にとっての沖縄のイメージなのだから仕方がない。その合間に飲み食いし、あの独特な墓を見て回ることがあるにしても…。
沖縄には飛行機で行く。それが現実的な選択肢だから。そこから先の足はいつも車だ。公共交通は、私の行きたいところへは運んでくれない。やむなくレンタカーを利用する。しかし…、だ。沖縄に住んでいる人が同乗しているならともかく、自分たちだけだと、移動中の情報収集は車窓からの眺めだけになる。沖縄で何が起きているか、今の情勢をリアルタイムに知りたければ、現地に友だちを持っておいた方がいい。一人だと退屈でもあるし…。
そんなことを考えていたら、那覇の国際通りにある高良レコード店で買ったCDのことを思い出した。《バスガイドが歌う沖縄のうた》。収録曲は沖縄音楽のスタンダード・ナンバーばかり。誰もが知っている沖縄民謡、琉球歌謡、ネーネーズや喜納昌吉のヒット曲も含まれている。通俗的といってしまえばそれまでだが、歌い手が実にユニーク。いや、スゴいというべきか。
歌っているのは西原せつ子さんと崎原真弓さんの二人。久米島出身の姉妹らしいが、現役のバスガイドである。お姉さんの西原せつ子さんはバスガイド養成にも関わるベテラン。崎原真弓さんと行くバスツアーは毎回参加希望者が殺到し、修学旅行のガイドは二年先まで予定が入っているというカリスマ・スーパーバスガイドである。
名所や旧跡、景勝地の案内の合間に聴かせてくれる沖縄の歌、琉球カラテの演武、おばぁの姿に扮して涙ながらに語る沖縄戦。華やかな伝統芸能と美しい自然だけでなく、沖縄の悲痛な歴史をも伝える。上澄みの楽しさだけでなく、その土地の本質をつかんでもらう、それこそが真の“おもてなしの心”というものだ。
バスガイドはバス会社の社員であるから、所属する会社のバスにしか乗車できない。退職してフリーになっても、一社でしか仕事をしないのが普通だ。そこへ西原せつ子さんが『ひまわりバスガイド』というバスガイドの派遣組織を設立し、バスガイドひとりひとりが自由なスタイルを提供できるようにした。修学旅行の高校生と中高年のツアー、訪れる場所が同じであっても、伝え方は違っていてしかるべきだろう。教科書を読んでいるような杓子定規の観光ガイドにくらべ、ずっと楽しいと思う。
歌のうまさはCDを聴けばわかる。曲の合間には語りもある。それでも彼女らの素晴らしさの半分も伝わらないだろう。ここはひとつ、バスツアーに乗ってみたらどうだろう。西原せつ子さんの指導を受けたバスガイドは少なからずいるようだから、良いガイドに当たる確率は高い。ツアー参加者の中には意気投合できる人もいるかもしれない。そんな出会いが人生を多少なりとも豊かにしてくれるのではなかろうか。そういえば、ここしばらく沖縄に足を運んでいない。次はバスツアーを利用してみようなどと考える今日この頃だ。
::: C D :::
《 バスガイドが歌う沖縄のうた 》

収録曲
1. 娘ジントヨー
2. 芭蕉布
3. てぃんさぐぬ花
4. 黄金の花
5. 花
6. 首里城
7. やいま
8. ゆうなの花
9. 島情
10. 安里屋ユンタ
歌・ナレーション:西原せつ子、崎原真弓
(しみずたけと) 2025.4.3
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