やりなおしのブルックナー

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 自分の視野の狭さも気になって、新たに九人をあげてみた。驚いたのは、カール・ベームがこれまで一度も登場していなかったこと。私たちの世代にとっては、カラヤン指揮のベルリン・フィルとベーム指揮のウィーン・フィル、どちらが上かなどと大まじめに議論していたくらい大きな存在だったのに…。バレンボイムやヨッフムはブルックナー交響曲全集を一度ならず録音している。ヤノフスキの全集は、スイス・ロマンド管弦楽団という、独墺系とフランス系の両面を併せ持つオーケストラであるのがミソだ。

 ヴァントはベートーヴェンやブラームス、ブルックナー等の独墺系音楽を得意とするものの、日本では職人気質の中堅指揮者と見なす人が多く、90年代になるまで注目されずにいたのだが、その後、あれよあれよという間に巨匠の仲間入りに。「人間は死ぬまで成長する生き物である」ことを改めて認識させてくれる好例だ。シューリヒトは正真正銘の巨匠。誰も依存あるまい。マタチッチは何度も日本に来日しているから、生演奏を聴いたことのある人も多いのではなかろうか。

 オーストラリア出身のヤングは、おそらく女性で初めてブルックナーの全交響曲を録音した人物だろう。彼女はワーグナーの『ニーベルンクの指輪』も全曲録音している。やはりブルックナーとワーグナーは親和性が高いのだろうか。ドホナーニは、現代におけるブルックナーのスタンダードとも呼べる演奏をしていたが、この9月6日に亡くなった。クリーブランド管弦楽団と録音した『ワルキューレ』を聴いて、ショルティの『ニーベルンクの指輪』を凌駕する全曲録音を期待したのは私だけではあるまい。

 これほど多くの指揮者が未登場だったなんて、なんたること!前に選んだ九つの演奏とくらべてみてほしい。


::: C D :::

1)交響曲第1番ハ短調〈リンツ版〉

指揮:シモーネ・ヤング
演奏:ハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団
録音:2010年


2)交響曲第2番ハ短調〈第2稿キャラガン版〉

指揮:マレク・ヤノフスキ
演奏:スイス・ロマンド管弦楽団
録音:2012年


3)交響曲第3番ニ短調〈1877年ノヴァーク版〉

指揮:ダニエル・バレンボイム
演奏:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1995年


4)交響曲第4番変ホ長調『ロマンティック』〈ノヴァーク版〉

指揮:カール・ベーム
演奏:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1973年


5)交響曲第5番変ロ長調〈原典版〉

指揮:ギュンター・ヴァント
演奏:ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1995年(ライブ)


6)交響曲第6番イ長調

指揮:クリストフ・フォン・ドホナーニ
演奏:クリーブランド管弦楽団
録音:1991年


7)交響曲第7番ホ長調

指揮:ロヴロ・フォン・マタチッチ
演奏:チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1967年


8)交響曲第8番ハ短調〈1890年改訂版〉

指揮:カール・シューリヒト
演奏:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1963年


9)交響曲第9番ニ短調〈ノヴァーク版〉

指揮:オイゲン・ヨッフム
演奏:シュターツカペレ・ドレスデン
録音:1978年


(しみずたけと) 2025.9.30

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