古謝美佐子の《 童神 》


 今やウチナー・ミュージックの重鎮ともいえる知名定男(1945年〜)のプロデュースで1990年に結成されたのがネーネーズだった。メンバーを入れ替えながら、現在でも第六世代が変わらずに活躍している。とはいえ、初代ネーネーズのインパクトは大きく、音楽界のレジェンドと言っても差し支えないだろう。様々なミュージシャンとのコラボや世界ツアーなど、沖縄音楽の認知度を高め、その後の沖縄ブームに大きな貢献をしたのは間違いない。

 その初代ネーネーズの一員だった古謝美佐子(1954年〜)が独立し、初のソロアルバムとしてリリースしたのが、ここで紹介する《天架ける橋》である。収録曲はどれも魅力的だが、中でも1997年にシングル盤がリリースされた「童神」は大ヒットとなった。初孫誕生の前に書いた詞に、音楽プロデューサーの佐原一哉(1958年〜)が曲をつけたものである。

 独特のリズムとウチナーグチ(沖縄言葉)の歌は、本土の人間にはややとっつきにくいところがあるものだが、子守唄を思わせるこの歌は、誰にでも聴きやすく、また歌いやすい。ヤマトゥグチ(本土言葉)バージョンもつくられ、夏川りみ、山本潤子、加藤登紀子など、多くの歌手がカバーしている。NHKの連続テレビ小説『ちゅらさん』の挿入歌としても使われたことを記憶している人もいることだろう。

 憲法集会に参加したことがあれば、一度や二度、古謝美佐子の生歌を聴いたことがあるに違いない。その中に「童神」があったかどうかは失念してしまったが、一年の終わりを静かに迎えるのにふさわしい歌ではなかろうか。

::: 歌詞 :::

童神
https://www.uta-net.com/song/302921/


::: C D :::

《 天架ける橋 》

収録曲
1. サーサー節
2. 橋ナークニー~夢かいされ
3. 天架きる橋
4. 童神
5. すーしーすーさー
6. やっちー
7. 恋ぬ初み
8. 家路
9. 恨む比謝橋
10. ヒンスー尾類小
11. 天架きる橋Ⅱ


(しみずたけと) 2023.12.28

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「古謝美佐子の《 童神 》」への1件のフィードバック

  1. 新婦人の「歌の会」でもときどきリクエストされる名曲です。私も大大好きの歌!

    ヤマトグチでは
    1.天からの恵み 受けてこの星に
      生まれたる我が子 祈りこめ育て
      イラヨーヘイ イラヨーホイ イラヨーかなし うみなしぐゎ
      泣くなよや ヘイヨーヘイヨー てぃだの光受けて
      ゆういりよーやー ヘイヨーヘイヨー 健やかに育て

    2.暑き夏の日は 涼風を送り 
      寒き冬来れば この胸に抱いて
      イラヨーヘイ イラヨーホイ イラヨーかなし うみなしぐゎ
      泣くなよや ヘイヨーヘイヨ― 月の光あびて 
      ゆういりよーやー ヘイヨーヘイヨ― すこやかに眠れ

    3.嵐吹きすさむ 渡るこの憂き世 
       母の祈りこめ 永遠の花咲かそ
      イラヨーヘイ イラヨーホイ イラヨーかなしうみなしぐぁ
      泣くなよや ヘイヨーヘイヨー 天の光受けて  
      ゆういりよーやー ヘイヨーヘイヨー 天高く育て

    以下、普天間かおりのCD、たるー(関洋)解説より。
    [沖縄では、物心つくまでの幼児は純白で何事にも汚されていない、神の魂に近い心を持つ、ということから「童神」と呼ばれる、と。
     
    1,天の恵み受けて この地球に生まれたる我が子 (かなし…愛しい)(うみなしぐぁ…思うわが子)
      お天道さんの光を受けて(ゆういりよーやー…芯のある強い)
      どうか良い子に どうか何事もなく育ってね
    2.夏が来れば 涼風を送り 冬が来れば 懐に抱く
      愛しい我が子 泣くんじゃないよ 
      お月さんの光を受けて どうか良い子に 大人になってね
    3.雨 風 吹き渡るこの世間 身を盾にして守るから 花を咲かせてね
      愛しい我が子 泣くんじゃないよ 
      天の光を受けて どうか良い子に どうか立派な人になってね

    古謝美佐子さんはこの歌に、子供の外見や知性以外に、「霊感の強い子供になってほしい」という願いを込めているところが沖縄らしい。]

    赤ちゃんを見るとこの歌を思います。
     

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