子どもの頃に見たテレビ番組の記憶…


 小学生の頃の思い出のテレビ番組。『ひょっこりひょうたん島』と『サンダーバード』。あの時代の子どもたちなら、絶対にみていたはずの人形劇ドラマ。

 井上ひさしと山元護久が原作を書いた『ひょっこりひょうたん島』は1964年にNHK総合が放送開始。笑いと諷刺、冒険がてんこ盛りのストーリーは面白さ抜群だった。さらに登場キャラクターがすごい。個々の性格がハッキリしているし、なにしろそのネーミングが秀逸。ドン・ガバチョ、サンデー先生、トラヒゲ、マシンガン・ダンディ、博士、ライオンなどなどのレギュラー陣に加え、魔女リカ、大泥棒グッバイジョウ、金融業者のシャッキンバード、牧伸二が声優を務めたウクレレマン・ダンなど、あのセンスには驚かされてしまう。ミュージカルばりの歌も忘れがたい。

 一方の『サンダーバード』は、1965年から66年に英国で放送されていたもの。日本では1966年に、こちらもNHK総合が放送。世界各地で起きた事故や災害で危機に陥った人を、「国際救助隊」を名乗る謎の集団が救助するというヒューマン・ストーリー。救助隊を組織するトレーシー一家の兄弟は、スコットやアランなど、名前からしてグレート・ブリテン総出演と言った趣。メカ好き男の子は、毎回ハラハラ、ドキドキ、ワクワクして見たものだ。

 わが家のテレビは白黒だったが、ある日、渋谷の東急にある大画面テレビでカラー映像を見てびっくり。『サンダーバード』って、こんな色だったのか!ス、スゴイ!。番組の終わりまで見てしまった。ところで、『ひょっこりひょうたん島』の方はどうだったのだろう。

 その後、『サンダーバード』は民放で何回も再放送され、実写版やらリメイク版も作られた。オリジナル作品はビデオ化され、今日ではDVDが販売されている。しかし、『ひょっこりひょうたん島』は…。『サンダーバード』のストーリー設定は未来だったが、『ひょっこりひょうたん島』の諷刺や教訓話も、今なお通用する普遍性を有している。なぜ『ひょっこりひょうたん島』は見ることができないのか?

 『サンダーバード』はオリジナルの映像テープが残された。しかし、当時のビデオテープは高価だったため、『ひょっこりひょうたん島』が収録された映像は、放送終了後に消去され、他の番組に使い回されたのである。朝鮮戦争の特需で息を吹き返したものの、天下のNHKでさえそうせざるを得なかった。あの頃の日本は貧しかったのである。とても映像文化などに金をつぎ込めるような状態になかったということだろう。まして子ども向けのテレビ番組などに…、そういうレベルだったのだと思う。

 戦争は経済だけでなく文化も壊す。貧すれば鈍する…。豊かさは物質文明だけではないが、先立つものがなければ文化は育たない。戦争をしている国、戦争の準備をしている国には、たいてい文化的な貧しさがつきまとっている。

『ひょっこりひょうたん島』テーマソング(初回版)
『サンダーバード』オープニング

(しみずたけと)  2022.8.11

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