ディアマンテスの「魂をコンドルにのせて」


 ネーネーズを聴いてもらったので、今度は日系ペルー三世のアルベルト城間を中心とするバンド、ディアマンテスだ。結成は1991年だから、ネーネーズと同じ頃と言うことになる。多彩なラテンのリズムは南米由来。それにルーツである沖縄、そして日本という要素が加わり、さらには活動を始めたコザという街に根付いたアメリカ的なハードロックをも交え、音楽はまさに“チャンプルー”。ラテンと沖縄、どちらも音楽大好きな土地柄、歌うことが大好きな人たちだから、オキナワ・ラティーナの看板どおり、リズミカルでマルチカルチュアリズムなポップスを聴かせてくれる。

 オリオンビールのCMソングに使われて有名になった「ガンバッテヤンド」、サッカーの応援歌として作られた「勝利のうた」など、多くの人に知られた歌がいくつもあるが、ここで選んだのは、ディアマンテスの三番目のアルバム『コンキスタ』に含まれる情熱的な一曲、「魂をコンドルにのせて」である。

 南米では、抑圧的な政権が長きにわたって人々を支配してきた。いや、それは今なお続き、民衆を苦しめている。日本から渡った日系人が多いにもかかわらず、そのことを知る人は少ない。そして沖縄もまた、本土の人が忘れ、あるいは気づかないふりをする中で、沖縄戦と基地の島という、昔も今も日本と米国による支配の下で苦しめ続けられている。

 宮沢和史とアルベルト城間による歌詞は、ペルーで起きた日本人銃殺事件をモチーフにしたものだと言うが、抑圧に苦しみながらも抵抗を続ける二つの土地をむすび、平和を祈るメッセージ性が強い。アルバムのタイトルである『コンキスタ』からは、音楽の力で世界を征服し、平和をもたらそうという意志が伝わってくる。キレの良いリズム、アルベルト城間の歌唱力と豊かな声量はもちろんだが、97年に脱退し、現在は《しゃかり》のヴォーカルである千秋によるコーラスがことのほか素晴らしい。この頃のディアマンテスは本当に充実していた。

::: 歌詞 :::

魂をコンドルにのせて

https://www.uta-net.com/song/8200/

::: CD :::

《コンキスタ》
収録曲

 1.ウチナーめんそーれ
 2.オキナワ・ラティーナ
 3.Daijyoubu
 4.セレナ
 5.このまま帰らないで
 6.片手に三線を
 7.ストップ・ザ・ボス
 8.優しさに一番近い島
 9.アバンサンド(前進)
 10.Alpacaが笑う
 11.幸せ探しにいこう

 12.魂をコンドルにのせて
 13.レイ

魂をコンドルにのせて/DIAMANTES

(しみずたけと) 2023.3.9

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