映画:未来を花束にして サフラジェット

見ました。「未来を花束にして」。
1912年~1913年のイギリス、参政権を得ようと行動した女性たちの話です。

エメリン・パンクハーストが女性政治社会連合 (Women’s Social and PoliticalUnion、 WSPU)を1903年に結成したことからイギリスの女性参政権獲得の闘いは始まりました。パンクハーストは爆弾や放火という過激な行動も必要という立ち位置で、「ことばではなく、行動を!」をスローガンとしていました。(けれども、のちの歴史家の間ではこの運動が参政権獲得につながったのか評価は定まっていないようです。)

でも、この映画はパンクハーストの物語ではなく、モードと言う名前のロンドンの洗濯工場で働く最下層の労働者の話しです。彼女は自分の人生はしかたのないものとして受け入れて来ました。けれども、ある日、女性投票権を声高に叫び、ショーウィンドウに投石をする同僚に遭遇し、驚き、そして、戸惑います。

たまたま巻き添えを食らって警察にしょっ引かれた時には、自分は関係ない、活動家ではないと証言していました。でもその後、自分を取り巻く女性たちに対す るさまざまな理不尽なできごとを目の当たりにする中、少しずつ、少しずつ、気 持ちが変わっていきます。

映画には史実を忠実に描いている部分があります。爆弾、放火がWSPUの常套手段で、彼女たちはそれを実行して行きます。「ボディガード」と称してWSPUの著名な活動家を警察などの暴力から守るための柔術の練習をする場面が出て来たりします。1000人もの女性がこの運動に参加したそうです。

また、刑務所に収監された彼女たちの抵抗はハンガーストライキでしたが、強制摂食と言うむごい措置が彼女たちに施されました。それも描写されます。

わたしはこの手の映画を見た感想を訊かれるのが苦手です。「面白かった」、「すごい人たちだと思った」、「頭が下がった」と言えない複雑な心持ちになるからです。

「あんただったら、どうした?」

映画に出て来る女性たちはわたしの祖母より少し年上の人たちです。あれから100年以上が過ぎ、今の女性を取り巻く社会状況は大きく変わりましたが、変わっていない部分も大きいなと思います。殊に日本では相変わらずの相変わらずです。

映画の最後の部分、1913年に悲しい事件が起きます。実際に起こった事件を描いています。この事件が、女性投票権獲得の運動が世間に注目されるようになる後押しとなります。

けれども、1914年に第一次世界大戦が勃発すると、パンクハーストは方針を変え、戦争協力態勢にはいりました。

結局、イギリスではこの映画の5年のちに条件付きではありましたが、30才以上の女性が投票権を獲得し、それからさらに10年後に21才以上のすべての女性に拡大されました 。


さて、話変わりますが、この映画の俳優たちが好きです。主人公のモードを演じたキャリー・マリガンは2005年の映画ジェーン・オースティンの「プライドと偏見」に出て来る5人姉妹のひとりを演じた人です。脇を固めているのが、ヘレナ・ボナム=カーター、そして、ロモラ・ ガライです。いずれもすばらしい俳優。端役だけど重要人物エメリン・パンクハ ーストを演じているのはメリル・ストリープです。皆、いいな~。

https://bessho9.info/movies.html
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ということでまた~。 (あきみ)