あゝ!パリの美しき五月!

Ah! Le joli mois de mai a Paris!

5月になると聴きたくなる歌がある。”Ah! Le joli mois de mai a Paris!”。直訳すると「あゝ!パリの美しき五月よ!」。

1968年5月、パリでは学生を軸にした、労働者、民衆の一斉蜂起によるゼネストが起こり、フランス政府は政策を転換せざるをえなくなった。「五月危機」と呼ぶ人もいるが、危機だと感じたのは権力者の側であって、まっとうな政治、もっと良い世界、オルタナティブを求める市民にとっては「五月革命」の名こそふさわしい。そうした背景をもつ歌である。

作詞作曲はジャン=フレデリック・ブロサール(Jean-Frédéric Brossard)。昨年亡くなったヴァニア・アドリアン=サンス(Vania Adrien-Sens)が歌っていた。日本では、加藤登紀子が「美しき五月のパリ」の題でカバーしているから、このサイトを訪れる人にとって、今さらくどくど説明する必要はなかろう。どちらもYouTubeで聴くことができる。

J’ai vu les hommes matraqués
J’ai vu des femmes bousculées
J’ai vu des grenades claquées
J’ai entendu la foule hurler

Refrain
Ah! le joli mois de mai à Paris!
Ah! le joli mois de mai à Paris!

J’ai vu des rêves s’eveiller
J’ai vu la révolte gronder
J’ai vu les codes piétinés
Les drapeaux de la liberté

Refrain

J’ai vu le printemps nouveau-né
Se répandre dans les quartiers
J’ai vu partout le vent tourner
J’ai senti l’espoir se lever

Refrain

私は見た、警棒で殴られる男たちを
私は見た、突き飛ばされる女たちを
私は見た、弾ける催涙弾を
私は聞いた、群集の叫びを

くりかえし
あゝ!パリの美しき五月よ!
あゝ!パリの美しき五月よ!

私は見た、理想の目覚めを
私は見た、反乱の拡大を
私は見た、法が、
自由の旗が踏みにじられるのを

くりかえし

私は見た、春が芽吹き、
街中に広がるのを
私は見た、いたるところで巻き起こる風を
私は感じた、高まる希望を

くりかえし

J’ai vu que la vie allait changer
J’ai vu la vérité bafouillée
La honte est là pour refluer
La sénilité s’en est allée

Refrain

Et ientôt le jour va se lever
Sur les chantiers et ateliers
La révolte ressuscitée
Enterre le vieux monde décedé

Refrain

Nous batirons une societé
Ou chacun libre et entire
Responsable de sa destinée
Et du sort de l’humanité

Ah! le prochain mois de mai à Paris!
Ah! le prochain mois de mai à Paris!
Ah! le prochain mois de mai à Paris!
Ah! le prochain mois de mai à Paris!

私は見た、変わろうとする人生を
私は見た、口ごもる真理、
逆行する恥、
旧き因習が消え去るのを

くりかえし

今や日は昇らん
作業場や仕事場で
生き返った反乱が
死んだ旧き世を葬り去る

くりかえし

われらは築く、
誰もが自由で
自分と人類の運命に責任を持つ
そんな社会を

あゝ!パリの来たるべき五月よ!
あゝ!パリの来たるべき五月よ!
あゝ!パリの来たるべき五月よ!
あゝ!パリの来たるべき五月よ!

(しみずたけと)

「あゝ!パリの美しき五月!」への6件のフィードバック

  1. パリでこの歌が歌われていた時、日本では、あの歌が歌わていた…….のを、はからずも思い出しました。

      学生の歌声に 若き友よ手をのべよ
      輝く太陽 青空を 再び戦火で乱すな
      我等の友情は 原爆あるもたたれず
      闘志は火と燃え
      平和のために 戦わん
      団結かたく 我が行く手を守れ

    いま、とても見たいと思っている映画があり(ドキュメンタリー「君が死んだ後で」2021.4封切り)、この映画の監督特別インタビューで加藤登紀子がこの歌を、涙を流しながら歌っていたのです。監督特別インタビュー4編も、とてもよくて、わたしも涙がでそう。櫻井民子

    1. 学生の歌声に…思い出しました。
      「君が死んだ後で」、第一次羽田闘争、音楽は「あまちゃん」の大友良英、見たい。
      でも3時間20分もの長さ…マスクをして、閉じた空間で私にはきついです。
      「三島由紀夫と全共闘」の記録映画もマスクを思い、コロナがおさまってからと諦めました。

      「美しき5月のパリ」というと、「さくらんぼの実る頃」の歌もなつかしく思い出されます。
      J.B.Clement作曲のシャンソンですが、パリ・コミューンの時のテーマソングでもあるとか。
      メロディはすなおだけれど日本語ではあちこち字余り…
      加藤登紀子のでは

       さくらんぼ実る頃は うぐいすが楽しそうに野に歌うよ
       乙女たちの心みだれて 戀に身をこがすよ
       さくらんぼ実る頃は 愛のよろこびをみな歌うよ

       けれどもさくらんぼの実りは短く 心あせる
       愛する人にじっと抱かれて しあわせにふるえても
       実り終わり うぐいす去ると 赤いしずくが胸を染める

       さくらんぼの実る頃は 年老いた今もなお なつかしいものさ
       あの日のことを心に秘めて 過ごしたしあわせを
       さくらんぼ実る頃は いつもしのんで歌うよ

      メロディとか載せられなくてごめんなさい。
      このさくらんぼは日本のではなくて、真っ赤で多汁なあれですね。
          

  2. いい曲ですね。冷めていた血が騒ぎます。
    この曲には不思議なパワーがあるのか、イヤフォンで聴き終わって、次の加藤登紀子の方に移った時、突然音が出なくなりました。スピーカーからは音が出ます。イヤフォンを替えたりパソコンを再起動しても直りません。コロナワクチンの予約と同じでサポートに電話しても混んでいて繋がりません。webサポートのチャットにやっと繋がり、ドライバの更新などいろいろと試し、最後はシステムの復元で解決しました。再度この曲を聴くとき、また壊れないか少し緊張しましたが、無事でした。何度も再生して聴いております。

    1. そ、パワーあるに違いない。
      え、パソコン!? システム復元なんてもう何百年も(や、そんなわけないか)やったことがない。ご無事でなにより。

  3. 1968年に学生だった私には懐かしい歌です。
    初めのフランス語のは、元気が良すぎて私はあまり好きではないなあ…
    加藤登紀子のほうが哀愁が漂っていいなあ、と思いました。
    気が付いたのですが、もともとのフランス語の歌は、繰り返しの歌詞が最後だけ違うんですね!
    「ああ!パリの美しい5月よ!」が、最後は「ああ!パリの来たるべき5月よ!」と。
    聴いてみてよかった…
    次の「歌の会」に持って行ってみんなで歌おうっと! ♪

    1. フランス語って、ソフトなイメージがありますが、いやいやどうして、
      アクセントを含め、かなり強烈な“音声”が特徴の言語です。
      しかしフランスの赤ん坊は、フランス語の子守歌を聴いて眠るのだろうなぁ…。
      もっともっと歌があるといいですね。
      「シュプレヒコ~ル!」とか叫ぶのでなく。

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