2020.4.14 緊急事態宣言

午前のさわやかな風の中、くすのき公園から鶯の囀りが聞こえてきます。心地よい気分に浸っていたら、突然、防災放送のアナウンス。なにごとと思ったら、八王子市長のメッセージでした。緊急事態宣言が発せられたこと、不要不急の外出を控え、手洗い云々…。市長が何を今さらと思ったのは私だけでしょうか。4月8日の午前10時のことでした。

ところで、この緊急事態宣言、なぜこの時期に?効果やいかに?新型コロナの感染拡大は予想されたことであり、接触を断つための外出制限は、緊急事態宣言なしでも、もっと早い時期に可能だったはずです。いずれにせよ、強制力も罰則もないわけですから。感染防止の目的のために、緊急事態宣言がなし崩し的に正当化されて良いのか、私は危惧しております。

憲法22条に反して人の行動を制限するわけですから、感染防止という「公共の福祉」のために、事前に国会できちんと審議しておくべきでしたし、それだけの時間的猶予はあったはずです。そうしたプロセスを踏んでおけば、問題は起きなかったと思います。それを安倍政権は、「緊急事態条項」を憲法に入れようという不純な目的のために、あえてそれをおこなわず、現行憲法が足かせとなって、この程度の中途半端な緊急事態宣言しかできないという方向に世論を誘導しようとしています。もしそうでないなら、単なる無為無策、ダイヤモンドプリンセス船内の状況を国中に広げ、人の命を危険にさらしていることになります。

また、「ぎりぎり持ちこたえている状況」といっておきながら、結局は宣言を出したのも、感染が拡大するのを待ち、メディアや国民が「遅すぎる」と非難するのを見越した上で、あたかも国民の方が緊急事態宣言を望んだかのようなストーリーを仕立てあげようとしているのではないでしょうか。

マスク二枚など、安倍政権にはまともなブレーンがついていないと思っていましたが、どうやら賢い人間が現れたようです。しかし、その賢さは、ずる賢いとか悪賢いと呼ばれるべき類いであって、決してほめられたものではありません。今こそ国民が賢くならなければいけません。

(しみずたけと)