2020年2月の例会(3月2日)に、演出家・川和孝さんにおいでいただきました

川和さんの企画・演出の「第49回名作劇場」について

川和先生は、永らく日本の近・現代秀作短編劇100本シリーズの企画・演出を手掛けてこられました。1994年11月に小山内薫「息子」を第1本目としてスタート、ついに本年4月公演をもって100本記念公演の運びとなりました。

一年に2回、春、秋に、作家一人につき1本に絞って、ほぼ2本ずつの公演を、ざっと25年以上、企画から演出まで、お一人でなさったとか。 脚本を選び出す背後には有名、無名の100人以上の作家がいらっしゃり、大抵何本かの脚本を残しています。それらは、現在ほとんど埋もれているので、掘り起こし、上演許可を得たり、作家が亡くなられていれば、ご遺族にお会いしたり、お墓に詣でたりと、そのご苦労と経費は並大抵のものではなかったと思います。

私は名作劇場の第13回から欠かさず観劇してきましたが、どの演目も、その時代の背景、地方色、そこに生きる人々が大切にしてきたこと等が、惻々と伝わり、いつも良い芝居だったと、清々しい気分に浸ることができました。この4月、100本目で終わりになるのかと、惜しく寂しい気がしています。また、観られなかった1回目から12回目までについて、とても残念に思っておりましたが、早稲田大学演劇博物館にすべてビデオで保存されているとのこと、ぜひとも観に行きたいと、少しだけ慰められています。

演劇好きな方に、この100本記念公演を是非ご覧になっていただきたいと思います。     

* 「日本古書通信(2020年3月号)」に先生が寄稿された「演劇人生回顧」- 秀作一幕劇百本上演 達成 ーのコピーがあります。海外公演でもご活躍なさった貴重な体験がつづられています。