映像で知る韓国・朝鮮
このページに掲げた映画・TVドラマは次の動画を参考にしています。
動画サイトへ → 辛すごさんの【徐台教の韓国通信】年末特番!映画とドラマで知る韓国近代史
全映画リストへ飛ぶ
《 植民地時代 》
- 道 - 白磁の人 -
- 監督:高橋伴明
- 2012年・小説「白磁の人」映画製作委員会 (119分)
- 《 日韓の架け橋となった心 》
日韓併合の四年後(1914年)、荒廃した朝鮮の山々を緑に戻すという使命感を抱いて朝鮮半島に渡り、京城(今のソウル)にやって来た林業技術者の浅川巧。朝鮮蔑視の日本人が多い中、そうした偏見を抱くことなく、朝鮮語を学び、朝鮮人同僚との間に友情を育む。やがて朝鮮白磁の美しさに魅せられ、柳宗悦とともに朝鮮工芸品の収集や研究、紹介に務め、日韓の架け橋となっていく。
- 密偵
- 監督:キム・ジウン
- 2016年・韓国 (140分)
- 《 日帝支配のもとで 》
1920年代、日本統治下の朝鮮半島では独立を目指す「義烈団」が激しい武力闘争を繰りひろげていた。朝鮮人でありながら、日本の警察に所属するイ・ジョンチュルは、上司に義烈団の監視を命じられ、組織のリーダーに接近する。そうした中、義烈団は京城(今のソウル)にある日本の主要施設を破壊する計画をたて、その準備を進めていた。ソン・ガンホ、イ・ビョンホン、鶴見辰吾らが共演するスパイ・アクション大作。
- 金子文子と朴烈
- 監督:イ・ジュンイク
- 2017年・韓国 (129分)
- 《 気高き生き様、ここにあり 》
社会主義者たちがたまり場にしている有楽町のおでん屋。金子文子はそこで働いていた。「犬ころ」という詩を愛吟していた彼女は、作者である朝鮮人アナキスト朴烈(パク・ヨル)に出会い、恋人として、また同志として行動を共にするようになる。やがて関東大震災が起き、社会は大混乱。二人は他の朝鮮人や社会主義者らとともに検挙され、裁判に…。日本政府によってスケープゴートにされても、弾圧に屈せず、国家権力に敢然と立ち向かった二人の気高き生き様。
- マルモイ ことばあつめ
- 監督:オム・ユナ
- 2019年・韓国 (135分)
- 《 言葉を奪えば支配しやすい… 》
1940年代、日本の統治下にあった京城(今のソウル)では日本語教育や創氏改名(日本式の名前への改名)が進められていた。そうした中、親日派の父を持ちながらも、民族の誇りを大切にし、消されようとしていた母語・朝鮮語を守ろうと、朝鮮語学会代表のリュ・ジョンファンらは朝鮮語辞書の編纂に尽力していた。ある日、前科者で読み書きもできないお調子者のキム・パンスを雑用係として迎え入れることに。あまりにも境遇が違う二人は反発し合いながらも、厳しい監視と弾圧の下で、各地の言葉、方言を集める「マルモイ」に力を注ぎ、辞書づくりを進めるのだったが…。
- 雪道
- 監督:イ・ナジョン
- 2017年・韓国 (122分)
- 《 慰安婦にされた少女 》
ひとり、編物で暮らしを立てる身寄りのないチョンブンは、まだあの日の記憶から逃れられない。日本支配下の朝鮮、貧しい家の娘、チョンブンは、学校に通う同い年のヨンエがうらやましい。
ある日、ヨンエが日本の勤労挺身隊に選ばれて日本に行くことになる。うらやましそうにヨンエを見送るそんなチョンブンの前に一人の男が現れて日本に行きたいのかと尋ねる。
夜中に何者かに連れ去られたチョンブンは、列車の中で日本に行ったはずのヨンエに出会う。少女たちは「日本軍慰安婦」として満州に送られたのだった。
慰めあい、時には争いながら、厳しい生活に耐えるチョンブンとヨンエ。そんなある日、彼女たちに慰安所を脱出する機会が生まれるが...。 日本語版のリリースを期待したい。
- 空と風と星の詩人 ~尹東柱の生涯~
- 監督:イ・ジュニク
- 2016年・韓国 (110分)
- 《 故郷を愛し、故国を愛した男の青春 》
1910年、日本に併合された朝鮮。詩人となる夢を抱いていた尹東柱(ユン・ドンジュ)だったが、作品の出版もかなわぬまま、27歳の若さで非業の死を遂げた。死後に発表された生前の作品の数々は、彼の生き様とともに評価され、国民的詩人として親しまれるようになる。激動の時代を駆け抜けた尹東柱の青春の日々を、独立運動に身を投じた従兄弟・宋夢奎との交流を軸に、モノクロ映像で描いた伝記ドラマ。
《 朝鮮戦争 》
- 国際市場で逢いましょう
- 監督:ユン・ジェギュン
- 2014年・韓国(127分)
- 《 家族、そして父との約束 》
朝鮮戦争の真っ只中、興南から南の釜山に引き揚げる船が出港しようとしている。主人公の少年ドクスは、母と幼い弟妹と共に乗り込むことができたが、父と妹は離ればなれに。国内避難民として、釜山の親戚の家に身を寄せる。やがて成長したドクスは、家計を支えるために西ドイツの炭坑へ出稼ぎに行く。そこで起きた炭鉱事故。どんなに辛く困難な時でも、家族の存在と、父と交わした「いつか国際市場で会おう」という最後の約束を心の支えに、がんばり続けるドクスだったが…。激動の時代を生き抜いた、ある家族の物語。
- ブラザーフッド
- 監督:カン・ジェギュ
- 2004年(148分)
- 《 一緒に帰ろう… 》
1950年のソウル。ジンテは一家の家計を支え、恋人ヨンシンとの結婚と弟ジンソクの大学進学のために、苦労をしながらも充実した日々を送っていた。甘えん坊の弟は、やさしくて頼りになる兄のもと、何不自由なく暮らすのだった。ところが事態は一変。6月25日に朝鮮戦争が勃発したのだ。混乱の中、兄が強制的に徴兵され、弟もあわてて後を追う。ろくな訓練もなしに戦場へと送り込まれた兄弟。ジンテは、自らが身代わりとなって危険な任務につくことで、弟を戦地から遠ざけようと考えるのだったが…。戦争によって歴史の波に翻弄される兄弟の悲痛な運命を描いた感動のドラマ。
- 小さな池 1950年・ノグンリ虐殺事件
- 監督:イ・サンウ
- 2010年・韓国 (86分)
- 《 長い年月を経て明かされる、あの日の悲劇 》
1950年7月、朝鮮戦争のさなかに起きたこと。北朝鮮軍に負けた米軍が、朝鮮半島の中程に位置する小さな谷間の村デムン・バウィゴルに敗走してきた。何も知らない村人たちは、とるものもとりあえず避難を始める。ノグンリの鉄橋下のトンネルに逃げ込んだ村人数百人は、理由もわからないまま、米軍の無差別射撃で殺害された。この「ノグンリ事件」を知る日本人はほとんどいない。
- オペレーション・クロマイト
- 監督:イ・ジェハン
- 2016年(110分)
- 《 伝説の作戦の背後 》
1950年、朝鮮戦争が勃発。奇襲でソウルを陥落させた北朝鮮軍は、約一ヶ月で朝鮮半島の大部分を支配下に収めた。半島南端へと敗走を余儀なくされた韓国軍と米軍に、事態を重く見た国連軍総司令官マッカーサーは、戦局を打開すべく、仁川(インチョン)への上陸作戦を計画。周囲から「あまりにも無謀」「不可能」と猛反対されながらも実行に移される。作戦成功の成否は、北朝鮮軍に潜入した韓国軍の諜報部隊。正体がバレれば即座に処刑されることが確実な極限の状況の中、名もなき兵士たちがマッカーサー率いる国連軍艦隊を仁川上陸へと導くための命懸けの作戦行動を開始する。朝鮮戦争の伝説の作戦の背後にあった実話をもとにした戦争ドラマ。
- 長沙里9・15
- 監督:クァク・キョンテク、キム・テフン
- 2020年(104分)
- 《 国家は国民を道具だとしか思っていない 》
クロマイト作戦(仁川上陸作戦)を成功させるための陽動作戦として決行された長沙里(チャンサリ)上陸作戦。捨て駒にされた平均年齢17歳の学生兵たちの過酷な運命。朝鮮戦争で実際にあった悲劇の物語が描かれる。
- 高地戦
- 監督:チャン・フン
- 2011年(133分)
- 《 国家は領土を求め、戦争は人を変える… 》
1950年6月に始まった朝鮮戦争は停戦協議が難航して泥沼化。前線の南北両軍は、いつになるかわからない停戦の日を睨み、その時点で少しでも多くの土地を確保しようと、おびただしい犠牲を払いながら地獄の高地戦が繰り広げていた。ある日、その高地に韓国防諜隊中尉カン・ウンピョが送られてきた。朝鮮人民軍の内通者が前線の部隊にいるのではないかと、その調査を命じられたのである。彼はそこで、冷徹な戦争マシンと化したキム・スヒョクと予期せぬ再会を果たすのだが、変わり果てたかつての戦友に戸惑うのだった。
- トンマッコルへようこそ
- 監督:パク・クァンヒョン
- 2005年・韓国(132分)
- 《 笑顔の癒やしがあれば争う理由は消えていく 》
朝鮮戦争の1950年代。他の土地から隔絶した山奥で自給自足の生活を送る不思議な村“トンマッコル”があった。絶えることのない笑顔、争いごとのない平和なその村に、ある日、アメリカ人スミスが操縦する飛行機が不時着。さらに、道に迷った韓国軍兵士二人と北朝鮮人民軍の兵士三人がやってくる。村内で顔を合わせた両軍兵士たちはすぐさま武器を手に一触即発の状態に。しかし、戦争を知らない村人たちは、そんな彼らを気にする様子もなく、のんびりした日常も変わらない。いつしか兵士たちも打ち解けていき、笑顔を取り戻していくのだったが…。
朝鮮戦争を舞台に、山奥の不思議な理想郷に迷い込んだ敵対する六人の兵士が、のんびりした村人たちに癒され、やがて人間性を取り戻していく姿を、ユーモアを織り交ぜて感動的に綴ったヒューマン・ファンタジー・ドラマ。宮崎アニメでお馴染みの久石譲が音楽を担当する。
《 ベトナム戦争 》
- ホワイト・バッジ
- 監督:チョン・ジヨン
- 1992年・韓国(123分)
- 《 韓国側から見たベトナム戦争 》
1979年の韓国。メディアは朴正煕大統領暗殺のニュースでもちきりだった。そんな中、ベトナムに派遣された韓国軍の《白馬師団》の元兵長ハン・キジュは、自身の戦争体験をもとにした小説に取り組む。しかし、従軍による結婚生活の破綻、戦争PTSDによる悪夢が去来し、思うように筆ははかどらない。ある日、戦友ピョン・ジンスから電話が入る。彼もまたPTSDに悩まされており、再会がハン・キジュの心に悪夢の日々を思い出させてゆく…。
韓国軍兵士の目から見たベトナム戦争を、オリバー・ストーン的なリアルな描き方をした作品になっている。とりわけ主人公の繊細な心理描写に重点を置き、フラッシュバックする戦場のシーンを織りまぜながら、ベトナム戦争とはなんであったのか、韓国と韓国人にとってどういう意味を持つものだったのか、戦争の実相を浮かび上がらせる秀作である。
《 軍事独裁政権時代 》
- レッドハント
- 監督:チョ・ソンボン
- 1997年・韓国(74分)ドキュメンタリー
- 《 「済州四・三」事件のドキュメンタリー 》
韓国の済州島(チェジュド)は、日本人にも馴染みの観光地だという。映像は、美しい海と山をあわせ持つこの島で、五十年前起こった悲劇の跡を辿っていく。「済州四・三」と呼ばれるこの事件は、つい最近まで韓国現代史のタブーだった。
1945年、朝鮮は日本の植民地支配から解放された。朝鮮国内には、民主的な独立国家をめざす建国準備委員会が作られ、国民の圧倒的な支持を得た。しかし、朝鮮半島南部を支配していたアメリカ軍政は左翼弾圧政策を次第に強め民衆の自立的な運動を次々と潰していった。こうした背景の中、48年4月3日、警察と右翼の圧迫に耐えかねた済州島の左派勢力と住民は、島内の警察署を襲撃する。権力側の報復は、一年に及ぶ住民の無差別殺戮だった。
昨日の事のように人々は自らの体験をビデオの中で語っている。親が、兄弟が夫がどのように殺され、その死体をどうやって葬ったのか。飾り気のない言葉が、胸をうつ。「四歳五歳の小さな子どもたちは、子犬みたいな声を出して死んだ。『アイゴー』っていえなくて、キャンキャン泣いて殺されたんだよ」。私の脳裏に焼きついた言葉。事件の犠牲者は三万人とも八万人とも言われている。
映像は、アメリカ軍政が、日帝時代の警察機構を利用して徹底した民衆弾圧を行ったことを明らかにしている。日本の植民地支配は、敗戦とともに終止符を打ったのではなく、その後の朝鮮の歴史にも癒しがたい傷を与え続けたことを、私たち日本人はどれほど自覚しているだろうか。(ビデオプレス・佐々木有美)
- シルミド/SILMIDO
- 監督:カン・ウソク
- 2003年・韓国(135分)
- 《 国家のコマにされ、捨てられた男たち 》
1968年1月、北朝鮮特殊工作部隊による青瓦台 チョンワデ(韓国大統領府)襲撃未遂事件が発生。三ヶ月後、その報復として韓国政府は仁川沖の実尾島(シルミド)に死刑囚ら31人の男たちを集め、金日成暗殺の極秘作戦指令を下した。31人は、その時の年月から名付けられた684部隊の特殊工作員として、ジェヒョン隊長の下で過酷な訓練を開始する。三年後、優秀な工作員に仕立て上げられた彼らに、いよいよ暗殺作戦実行命令が下される。しかし、政府の対北政策は決行目前になって大きく転換、北潜入へ向け行動を開始した部隊に急遽命令の撤回が告げられるのだったが…。
長年に渡って隠蔽されてきた韓国政府による金日成暗殺計画と、それを巡る工作部隊の反乱事件を描いたアクション・サスペンス。1971年に勃発した「シルミド事件」を、その発端となった事件から辿り、3年間に及ぶ南北朝鮮の緊張状態の過程を克明に描く。
- モガディシュ 脱出までの14日間
- 監督:リュ・スンワン
- 2021年・韓国 (121分)
- 《 国家にまさるもの 》
1990年、民主化から三年、ソウル五輪からはまだ二年した経っていない韓国だが、国連加盟を目指し、多数の投票権を持つアフリカ諸国でロビー活動を展開していた。駐ソマリア韓国大使ハンも、ソマリア政府上層部の支持を取り付けようと奔走するも、アフリカでの外交活動においては、同じく国連入りの機会をうかがう北朝鮮の先行を許していた。両国大使館の間で妨害工作や情報操作などが繰り広げられ、対立はエスカレート。そんな中、ソマリアで内戦が勃発し、首都モガディシュの街は戦場と化してしまう。各国の大使館は略奪や焼き討ちにあい、外国人にも命の危険が迫る。暴徒によって大使館を追われた北朝鮮のリム大使は、部下の反対を押し切り、職員と家族たちを連れ、韓国大使館への避難を決意。敵対する者同士が協力し合って決死の脱出を図るという、実話をもとにした緊迫のドラマ。
- KCIA 南山の部長たち
- 監督:ウ・ミンホ
- 2020年・韓国(114分)
- 《 朴正煕暗殺の背景 》
1979年に起きた朴正煕(パク・チョンヒ)韓国大統領暗殺事件の闇を描いた金忠植のベストセラー小説『実録KCIA―南山と呼ばれた男たち』をもとにしたポリティカル・サスペンス映画。大統領直属の機関として絶大な権力をほしいままにしたKCIAの元部長が亡命先の米国議会で韓国大統領の腐敗を告発する証言をおこなった。激怒した朴正煕(パク・チョンヒ)は現部長に処理を命じる。渡米して裏切った元部長に接触するのだが…。
- 大統領の理髪師
- 監督:イム・チャンサン
- 2004年・韓国(116分)
- 《 ある特別な床屋さんの物語 》
1960年代の韓国。ソン・ハンモは大統領官邸“青瓦台”(チョンワデ)のある町、孝子洞(ヒョジャドン)で理髪店を営むごく普通の男である。近所の人々同様、大統領のお膝元であることを誇りに思い、時の政府を妄信的に支持し、熱烈さのあまり町ぐるみの不正選挙にも加担するほどだった。新米助手のキムを無理やり口説いて結婚し、かわいい息子も生まれて幸せな毎日を送っていたのだが、ふとした事件をきっかけに、大統領の理髪師に。思いもよらない権力をめぐる政争の渦に巻き込まれてしまうことになるのだが…。
- ユゴ 大統領有故
- 監督:イム・サンス
- 2005年・韓国(104分)
- 《 緊迫の一日を再現 》
軍事独裁政権下の韓国。民衆に対する大統領の締め付けは厳しさを増し、それに抵抗する学生運動も武力で鎮圧し、緊張が高まる。その一方で、大統領自身は酒と女に明け暮れる。そんな大統領の尻ぬぐいばかりをさせられうんざりしていたのは韓国中央情報部(KCIA)のチュ課長。上司で大統領の重臣の一人、キム部長も現状に危機感と憂いを募らせていた。そんな中、大統領と側近三人が顔を揃える晩餐会が開かれることに。キム部長はある決意を胸に秘め、その場へと向かうのだったが…。
1979年の朴正煕(パク・チョンヒ)大統領暗殺事件を、当時の捜査資料や証言記録などをもとに、推測も織り込みながら。歴史的事件を描いた問題作。
- ソウルの春
- 監督:キム・ソンス
- 2023年・韓国(142分)
- 《 歴史を揺るがす衝撃の事件 》
1979年10月26日、大統領暗殺という衝撃的な事件が発生し、国中に動揺が広がるも、同時に民主化を求める声が高まっていく。ところが、合同捜査本部長に就任し、捜査を指揮する保安司令官のチョン・ドファンは、民主化によって軍の影響力が低下することを恐れた陸軍内の秘密組織“ハナ会”の将校たちを掌握し、自ら新たな独裁者となるべく、同年12月12日、クーデターを決行。これに対し、大統領暗殺による政治的混乱の中、首都警備司令官に就任した高潔な軍人イ・テシンは、チョン・ドファンと反乱軍の暴走からソウルを死守するために必死の戦いを繰り広げるのだったが…。
大統領暗殺による政治的空白を衝いて軍事クーデターを成功させ、全権を掌握したチョン・ドファンと軍部。これにより、国民の悲願であった民主化はさらに遠のくこととなった。大統領暗とクーデターという韓国の運命を大きく変えたこの二つの歴史的事件の衝撃の全貌を、本作はフィクションを織り交ぜつつ、狡猾かつ大胆にクーデターを決行した首謀者チョン・ドファンと、その野望を阻止すべく懸命に立ち向かった実直な軍人イ・テシンの緊迫の攻防の行方を通してスリリングに描き出した実録ポリティカル・エンタテインメント劇である。
- なつかしの庭
- 監督:イム・サンス
- 2006年・韓国(112分)
- 《 軍事政権のもとで生きた男と女 》
軍政に抵抗し、17年の刑期を終えて出所した主人公。乗り込んだタクシーで見たのは、かつて獄中生活を支えてくれた恋人の写真だった。逃亡生活を送っていたときに協力者として紹介され、二人は愛し合う仲に。潜伏場所で現実とは一線を画す幸福な生活を送るが、ソウルで仲間が捕まったとの連絡を受け、彼は彼女を残して立ち去る。
韓国現代史を知らないと理解困難だろう。「つまらない」等の評は、歴史や社会的背景に関する知識なしで見るからだと思う。『光州5・18』や『タクシー運転手』、『ペパーミント・キャンディー』に何か感じるところがあったなら、やはり見るべき作品だ。
黄晳暎(ファン・ソギョン)の原著も翻訳出版されているので、こちらを読むのも良いだろう。
- 下女
- 監督:金綺泳(キム・ギヨン)
- 1960年・韓国(108分)
- 《 韓国映画史に記憶される鮮烈なる傑作 》
妻が病に倒れ、家政婦として若い女を雇ったピアノ教師の男。男の強い性的欲動と娘の魔性的な魅力によって、やがて二人は関係を持つ…。ブルジョア家庭に渦巻く、欲望、憎悪、狂気…。
- ペパーミント・キャンディ
- 監督:イ・チャンドン
- 1999年・韓国(129分)
- 《 傷つけられた心の終着点 》
1979年秋、鉄橋下の河原でピクニックに興ずる若者たち。男はそこで一人の女と出会う。初恋だった。80年、彼は戒厳軍の一兵卒として、光州事件の鎮圧に向かわされる。除隊した彼は警察官になった。民主化運動が盛んになった87年、容疑者への激しい水責め拷問する彼。99年、彼は死の床にある初恋の彼女を見舞った。三日後、あの同じ河原で20年前の仲間と再会する。
男がなぜ今の境遇に至ったのか、ストーリーは過去へ遡るようにして描かれる。『タクシー運転手』『1987、ある闘いの真実』の後でぜひ見てほしい人間ドラマ。
- 偽りの隣人 ある諜報員の告白
- 監督:イ・ファンギョン
- 2020年・韓国(130分)
- 《 誰の、何のために… 》
1985年、軍事政権下の韓国。厳しい弾圧から海外に逃れていた野党政治家のイ・ウィシクは、次期大統領選への出馬を表明して緊急帰国する。しかし、出馬阻止を目論む国家安全政策部によって自宅軟禁に。隣家には盗聴本部が設置され、諜報員のユ・デグォンは部下の二人と24時間体制の盗聴と監視をつづけている。目的は、ウィスクを共産主義者に仕立てるためであった。しかし、家族を愛し、国民の平和を願うウィスクの声に、諜報員たちは戸惑いはじめる。隣人としての交流も増え、徐々に自分たちの行動に疑問が湧き起こってくる。
- 南営洞1985 国家暴力:22日間の記録
- 監督:チョン・ジヨン
- 2012年・韓国(106分)
- 《 民主主義を勝ちとるまでの苦悶 》
1985年、軍事政権下の韓国。公安警察に不当逮捕された民主化運動の中心人物が、目隠しをされて南営洞(ナミョンドン)の警察庁治安本部対共分室へと移送された。彼を反国家団体のメンバーにでっちあげようとする当局は、残忍な拷問技師を使い、22日間にもおよぶ壮絶な拷問を開始。本作は、1987年6月29日の「民主化宣言」のきっかけともなった、過去にはタブーとされていた国家権力による拷問事件を初めて映画化したものである。なお、こうした拷問の手法は、かつて朝鮮半島を支配した日本軍や日本の特高警察から継承したものであることを、われわれ日本人は忘れてはならない。
映画にせよ文学にせよ、朴正煕(パク・チョンヒ)や全斗煥(チョン・ドゥファン)らの独裁政権、軍事政権時代のことを語ることができるようになったのは、やはり金大中(キム・デジュン)が大統領になってからであろう。そう考えると、韓国の民主化というのはとても重要なターニングポイントだったと言える。そうでなければ、光州事件などの一連の民主化運動について、われわれは何も知らないままでいただろうから。
《 民主化闘争 》
- 砂時計
- TVドラマ 24話 1995年
- 《 韓国ドラマの金字塔 》
軍事独裁政権のもと、民主化運動が高まっていく1980年代の韓国。父親がパルチザンだったためにヤクザへの道を余儀なくされた男。厳格な父親のもとで法曹界を目指す男。カジノ経営で富をなした父のおかげで何不自由なく育った女。それぞれの信念を貫く三人の若者を軸に、当時の社会の中で背負った運命と向き合う姿を描く。人間関係のしがらみ、複雑に絡み合う友情と愛、立ち位置の違い。光州事件を初めてテレビドラマとして扱った作品でもある。最高視聴率は、なんと64.5%。この番組を見るために帰宅を急ぐ人が増え、放映日は街の飲食店が閑散としたという。その内容の濃さは、韓国ドラマの金字塔といって良いだろう。
- 光州 5・18
- 監督:キム・ジフン
- 2007年・韓国(121分)
- 《 韓国民主化運動の悲劇 》
1980年の5月、民主化を求める学生と戒厳軍が衝突した。一般市民も加わり、街をあげての10日間にわたる国家権力との対決。多くの犠牲者を出すこととなった光州事件の悲劇をリアルに再現しながら、ごく普通の学生たちの生き様を描く人間ドラマである。
両親を早くに亡くしたタクシー運転手の青年。ある日、彼は親代わりとなって面倒を見てきた弟と、思いを寄せるものの告白できずにいる、弟と同じ教会に通う看護師との三人で映画を見に行く。映画館の外で始まった学生の民主化デモ隊と戒厳軍の衝突。それに巻き込まれてしまう三人の運命。
韓国語の原題は『華麗なる休暇』だが、これは光州事件の鎮圧を命ぜられた戒厳軍の作戦名である。名称と現実、民と軍のギャップについても思いを馳せたい。
- タクシー運転手 ~約束は海を越えて~
- 監督:チャン・フン
- 2017年・韓国(137分)
- 《 民主主義を求め、手を取り合う 》
1980年5月に韓国で起きた歴史的な民主化運動での悲劇“光州事件”を背景に、厳しい取材規制の中で現地入りしたドイツ人記者と、彼を乗せることになった平凡なタクシー運転手の、事実にもとづく使命感と友情を描いた感動ドラマ。
ドイツ・メディアの東京特派員が光州での極秘取材を敢行すべく韓国入りする。英語もろくに分からず、戒厳令下の厳しい言論規制の中にいるタクシー運転手は、記者の「通行禁止時間までに光州に行ったら大金を払う」という言葉に、現地の深刻さに気づかぬまま引き受ける…というの設定だが、実はキム・サボク運転手とヒンツペーター記者は以前から交流があり、二人は民主化運動に関わっていたのだ。
『タクシー運転手』キム・サボク氏の長男「本当の父の姿を知らせたい」 http://japan.hani.co.kr/arti/politics/30571.html
- 1987 ある戦いの真実
- 監督:チャン・ジュナン
- 2017年・韓国(129分)
- 《 韓国の民主化のために闘った人々 》
1987年の軍事政権下の韓国で実際に起きた、民主化運動の転換点となった大学生拷問致死事件の真相を、隠蔽に奔走する警察関係者とその動きに疑問を抱いた検事をはじめ、記者や看守、学生など事件に関わる様々な立場の人々の緊迫の人間ドラマを通して描き出した衝撃の実録群像劇。
1987年1月14日、抑圧的な軍事政権に反発する学生の民主化要求デモが激化する中、ソウル大学の学生が警察の取り調べ中に死亡する。対共分室所長は証拠隠滅のため、部下に遺体の火葬を命じる。一方、警察からの火葬申請を不審に思った検事は、上司の忠告を無視して司法解剖を強行し、拷問致死が判明。警察上層部は拷問を否定するが、検事に接触した東亜日報の記者によって死因が暴露されると、今度は部下の逮捕で事件の幕引きを図ろうとするのだったが…
- キングメーカー 大統領を作った男
- 監督:ピョン・ソンヒョン
- 2021年・韓国(123分)
- 《 選挙参謀が大統領を当選させる 》
軍事独裁政権の打倒と民主主義的社会の実現を目指す野党の政治家キム・ウンボム。しかし理想と情熱だけでは選挙に勝てない。落選を繰り返すキム・ウンボムだったが、彼の理想に共鳴したソ・チャンデが選挙スタッフに。圧倒的な資金を背景にした与党の物量戦術に対し、奇策、ときには手段を選ばない汚い手口を繰り出し、選挙戦を勝ち抜く。野党内で頭角を現したキム・ウンボムは、ついには大統領候補にまで上りつめ…。フィクションではあるが、韓国第15代大統領の金大中(キム・デジュン)と、その選挙参謀として数々の奇策や裏工作を駆使して勝利に貢献した厳昌録(オム・チャンノク)の驚きの実話をもとにした政治エンタテインメント劇。
- 弁護人
- 監督:ヤン・ウソク
- 2014年・韓国(127分)
- 《 国家権力と闘う弁護士 》
高卒のソン・ウソクは猛勉強の末に司法試験に合格、晴れて判事となった。しかし学歴もコネもない彼は、横行する差別のために昇進の望みがない。やむなく弁護士に転身したが、そこで未開拓の分野である不動産登記業務に目をつけ、税務弁護士として成功する。ある日、行きつけの食堂の息子が公安当局に逮捕された。相談を受けた彼がやっとのことで拘置先を突き止め面会すると、身体には無数のアザ…。社会正義に目ざめ、冤罪を晴らすべく、たった一人で国家権力に戦いを挑む。盧武鉉 ノ・ムヒョン(後の韓国大統領)の弁護士時代の実話を映画化した社会派ドラマ。主演はソン・ガンホ。
- 共犯者たち
- 監督:チェ・スンホ
- 2017年・韓国 (105分)
- 《 記者が黙った 国が壊れた 》
李明博(イ・ミョンバク)から朴槿恵(パク・クネ)にかけ、約9年間にわたって続いた韓国の保守政権。当時の言論弾圧の実態を告発した社会派ドキュメンタリーである。2008年、大統領に就任した李明博は、公共放送KBSと公営放送MBCに対する露骨な政治介入を始めた。政権に批判的な経営陣を排除し、記者たちも次々と追い出しにかかる。ストライキで抵抗する労働組合だったが、政権が送り込んだ新しい経営陣によって、両局は政府の“広報機関”へと成り下がる。一方、MBCの名物プロデューサーだったチェ・スンホと、不当解雇されたジャーナリストらは、「ニュース打破」なる非営利独立メディアを立ち上げ、調査報道を続けていった。本作は、当事者のチェ・スンホが自ら監督を務め、“主犯”の大統領と、権力に迎合した業界内の“共犯者たち”による言論弾圧がもたらしたメディアの腐敗を暴き出すとともに、権力の介入から報道の自由を守るために体を張ったジャーナリストたちの不屈の闘いを描く。
《 南北分断 》
- 分断の歴史 ~朝鮮半島100年の記憶~
- 監督:ピエール=オリヴィエ・フランソワ
- 2019年・仏 (117分)ドキュメンタリー
- 《 南北統一は実現するのか? 》
韓国と北朝鮮の分断された過去と現在の関係や南北分断の歴史と統一に向けた両国民の思いを、長年にわたって朝鮮半島を取材してきたフランス人ジャーナリストのピエール=オリヴィエ・フランソワ監督が描くドキュメンタリー。どちらにも与しない第三者の視点から、両国だけでなく、米露やフランスなどで収集した資料、様々な識者やキーとなる重要人物へのインタビューを通し、超大国が分断に及ぼした役割、北朝鮮の現実を明らかにしていく。
- 再会の村、チョンソルリへようこそ
- 監督:キム・ジョンジン
- 2007年・韓国 (107分)
- 《 秘密が隠された人里離れた村 》
田舎に生まれ育ったコン・ヨンタン。真面目だがさえない彼は教師になるべく、ソウルに向かった。ひょんなことから迷い込んだ森の池で見たのは水浴びをする美女…。もしかして仙女か?そこは人里離れた村、チョンソルリだった。赴任してくるはずの教師と間違われたヨンタンは、そのまま教師として居着くことに。村長が言うには、水浴びの女は自分の義妹ソンミで、上の村に住んでいる。ある夜、村人が抜け穴に入っていくのを見たヨンタンだが、村人はだれもその抜け穴について話そうとしない。チョンソルリは北朝鮮と接する韓国最北端の村だった。この上に村はないはず。抜け穴にはどんな秘密が隠されているのか。ソンミに心ひかれるヨンタン…。
- さらばわが愛、北朝鮮
- 監督:キム・ソヨン
- 2017年・韓国 (80分)ドキュメンタリー
- 《 50年代、ソ連留学中の北朝鮮の若者8人が亡命したその望郷の思いとは…… 》
1952年、ソ連のモスクワ国立映画大学に留学した北朝鮮の若者8人。56年に祖国で起きたクーデター「宗派事件」をきっかけに、当時の金日成体制を批判した彼らは、エリートとして約束された北朝鮮での将来を捨て、帰国せずに亡命の道を選択する。朝鮮戦争、南北分断、金日成、そしてスターリンの目撃者である彼らは何を目撃したのか。カザフスタンを始めとするユーラシアの各地で映画監督や作家として活動した彼らの波乱万丈の人生を追ったドキュメンタリー。制作に着手した時点で、7人は既に鬼籍に入っていた。最後の生存者による証言が重くのしかかってくる。
- 送還日記
- 監督:キム・ドンウォン
- 2003年・韓国 (148分)ドキュメンタリー
- 《 歴史に翻弄された元北朝鮮スパイ 》
朝鮮半島が南北に分断され、北朝鮮は韓国側に数多くのスパイを送り込んだ。拘束したスパイに対し、韓国は共産主義思想を放棄するよう転向を強制したが、それでもなお転向を拒否する者はいつまでも収監され続け、30年をこえる囚人もいた。やがて、金大中(キム・デジュン)の太陽政策を転機として、多くの長期囚が転向しないまま釈放、北朝鮮へと送還されることになる。本作は、そうした年老いた長期囚を中心に、彼らの姿を12年の長きにもわたって撮り続けたドキュメンタリーである
- ディア・ピョンヤン
- 監督:ヤン・ヨンヒ
- 2005年・チェオン (107分)ドキュメンタリー
- 《 近いのに遠い、しかし遠いけれど近い… 》
ヤン・ヨンヒ。朝鮮総連の幹部を父に、四兄妹の末っ子として日本に生まれ、日本で育った二世である。三人の兄は、三十数年前に「帰国」。彼女は映像作家として、人生のすべてを「祖国」に捧げてきた父親を、10年間にわたって記録し続け、このドキュメンタリーに仕上げた。家族思いの両親が、なぜ息子たちを帰国させたのか。優しさ?それとも政治的信念?父親に違和感を抱きながらも、理解しようとカメラを向ける。近いようで遠い二つの国。父と娘の間に横たわる溝。それでも感じる確かなむすびつき。二人の対話に耳をかたむければ…。
- シュリ
- 監督:カン・ジェギュ
- 1999年・韓国(124分)
- 《 南北の緊張緩和の陰で… 》
韓国で最近多発する暗殺事件の裏には、以前から追っている謎の女スナイパーの影を感じとった情報部員ジュンウォン。遂には自分の命が狙われ、恋人の身を案じた彼は、彼女をホテルにかくまう。いつもと様子が違う恋人に、何が彼女を苦しめているのかわからず戸惑うジュンウォン。そうした中、驚異的な破壊力を誇る液体爆弾CTXが強奪された。ソウルでは、韓国と北朝鮮両首脳が列席するサッカー南北交流試合の華やかな舞台が準備中…。
- JSA
- 監督:パク・チャヌク
- 2000年・韓国(110分)
- 《 共同警備区域で起きた不可思議な事件 》
JSAとは南北分断の象徴である38度線上にある両国による共同警備区域のことである。そこで起こった射殺事件。そして全く異なる陳述を繰り返す南北の兵士たち。両国の合意のもと、中立国監督委員会は責任捜査官として韓国系スイス人である女性将校・ソフィーを派遣する。彼女は事件の当事者たちと面会を重ねながら、徐々に事件の真相に迫っていくのだった。そこには全く予想外の「真実」が隠され…。
- クロッシング
- 監督:キム・テギュン
- 2008年・韓国(107分)
- 《 生きるための選択肢はかくも無残なのか! 》
ヨンス、その妻ヨンハと11歳の息子ジュニ、3人は北朝鮮に暮らしている。ある日、ヨンハが結核に罹患。しかし北朝鮮では薬が手に入らない。ヨンスは危険を冒して国境を越え、中国へ。見つかれば即、強制送還され、処刑が確実だ。そんな状況の中で、薬を得ようと身を隠しながら懸命に働くヨンス。その甲斐もなく、故国ではヨンハが静かに息を引き取っていた。孤児となったジュニは、父との再会を信じ、国境を目指すのだが…。キム・テギュン監督による北朝鮮からの脱北者への入念な取材をもとに、彼らの過酷な実情を描き出した社会派ドラマ。
- レッド・ファミリー
- 監督:イ・ジュヒョン
- 2014年・韓国(100分)
- 《 隣の芝生は青い(いや、赤い)か? 》
郊外の住宅地に暮らす夫婦と娘、お祖父ちゃんの一家。一見仲睦まじい四人家族なのだが、実は妻役のベクを班長とする北朝鮮のスパイ・グループだった。表では理想的な家族を演じながら、裏では祖国の指示に従い、偵察や脱北者の始末という任務を忠実に遂行していたのである。一家の隣には、諍いの絶えない韓国のダメ家族が住んでいた。ベクたちは彼らを腐敗した資本主義の象徴とバカにするのだが、二つの家族間で交流が深まっていくにつれ、自分たちが祖国に残してきたそれぞれの本当の家族への想いが募っていき…。
- ノーザン・リミット・ライン 南北海戦
- 監督:キム・ハクスン
- 2015年・韓国(130分)
- 《 日韓共催サッカーW杯の歓喜の裏で命をかけた男たち 》
黄海の南北境界線を「ノーザン・リミット・ライン(北方限界線)」と呼ぶ。2002年、ここで韓国と北朝鮮の艦艇の間で銃撃戦があった。この“第2延坪海戦”を完全再現した戦争ドラマである。日韓ワールドカップ開催中の2002年6月29日。北朝鮮の警備艇が領海侵犯を繰り返し、韓国軍が警戒を強める中、突如韓国軍艦艇への奇襲攻撃を決行。韓国軍357号艇は、ユン艇長の指揮の下、すぐさま交戦体制に入るのだったが…。
- コンフィデンシャル/共助
- 監督:キム・ソンフン
- 2017年・韓国(125分)
- 《 手を組んだ南北の刑事が世界的犯罪を阻止する 》
極秘任務中に仲間と妻を殺された北朝鮮のエリート刑事イム・チョルリョン。上官チャ・ギソンの裏切りだった。自らが率いる犯罪グループとともに偽札の原版を盗み、韓国へ逃亡したギソン。秘密裏に原版を取り戻すという国家の密命を帯びて韓国に派遣されるチョルリョン。北の要請で異例の“南北共助捜査”を行うことになったのだが、韓国側が選んだのは庶民派刑事のカン・ジンテ。さて、その成り行きは…。
- 工作 黒金星と呼ばれた男
- 監督:ユン・ジョンビン
- 2018・韓国(137分)
- 《 北と南の裏の裏、そのまた裏… 》
韓国軍の将校パク・ソギョンは、1992年、国家安全企画部のチェ・ハクソン室長に呼び出された。スパイとして北に潜入し、核開発の実情を探れという命令だった。黒金星(ブラック・ヴィーナス)というコードネームを与えられたパクは、敏腕実業家になりすまし、北の重要人物とされる北京駐在の対外経済委員会所長リ・ミョンウンとの接触を図る。数ヵ月後、面会の機会を得たパク。厳しい試験をどうにかこなし、リ所長の信頼を得ていくのだが…。
- スパイネーション/自白
- 監督:チェ・スンホ
- 2016年 ドキュメンタリー(106分)
- 《 裏切ったのは国だった 》
2013年、ひとりの脱北者がスパイ容疑で逮捕された。国家情報院の捜査に疑念を抱いたチェ・スンホは、ジャーナリスト魂を発揮、独自に調査を開始する。国家情報院による“北朝鮮スパイ捏造”という、国家権力の深い闇に迫った衝撃のドキュメンタリー。
《 日韓関係・在日 》
- 戦後在日五〇年史[在日]/人物編
- 監督:呉徳洙
- 1998年・映画「戦後在日五〇年史」製作委員会 歴史編(136分)/人物編(124分
- 《 過酷な世界に生きた人たちの軌跡 》
1945年の解放から半世紀が過ぎだ。その間、在日朝鮮人はいかに生きてきたのか…。在日と呼ばれる人たちの来し方、生き様を真正面から描く。北は青森、秋田から南は佐賀、福岡、さらに遠くソウルまで、「光復五〇周年祝賀式典」を追いかけるカメラ。組織的な証拠隠滅のせいで、日本には残っていない資料が、米国立公文書館に眠っている。貴重な資料が映しだされ、解放直後の在日に深く関わった元GHQ担当官たちの証言する。米ソ冷戦体制と南北朝鮮の対立に翻弄されながらも、祖国を想い、日本人の偏見と差別に抗う在日たち。彼ら・彼女らの運動を、記録映像と証言で、これでもかと見せつける。受けとめる側の力が今、試されているかのようだ。
- 焼肉ドラゴン
- 監督:鄭 義信
- 2018年・KADOKAWA (127分)
- 《 あの時代、あの場所、あんな家族が、こんな人がいた いま思う、あれはキミだったのかもしれない… 》
飛行機が離着陸するシーン。ここは大阪万博が迫って活気あふれる伊丹空港の近く。戦争で左腕を失った龍吉は、故郷の済州島を追われて来日した英順と再婚、ここで小さな焼肉店“焼肉ドラゴン”を開業し、身を粉にして働いてきた。四人の子どもたちを育てあげるために…。そうした中、末っ子の時生は中学でイジメに遭い、心を閉ざしてしまう。次女の梨花は、夫の哲男が、幼なじみでもある長女の静花への恋心を今なお捨てきれずにいることに苛立つのだったが…。
人気劇作家で、映画の脚本でも知られる鄭義信が、自らメガホンをとり、関西の下町を舞台に、在日コリアンの家族が、時代の波に翻弄されながらも、たくましく生きていく姿を、笑いと涙で綴る感動の人情ドラマである。父親役はキム・サンホ、母親役はイ・ジョンウン、二人とも韓国の名優である。
- パッチギ!
- 監督:井筒和幸
- 2004年・シネカノン (119分)
- 《 世界は、愛で変えられる 》
1968年の京都。東高校2年の松山康介はある日、担任の先生にサッカーの親善試合を申し込みに行けと言われる。相手は朝鮮高校。東高校とは常日頃から争いが絶えない間柄だ。親友の紀男と恐る恐る朝鮮高校を訪れた康介だったが、音楽室でフルートを吹くキョンジャという女生徒に一目惚れしてしまう。彼女の兄アンソンは朝鮮高校の番長だった。それを知っても、キョンジャと仲良くなりたい康介は、楽器店で知り合った坂崎からキョンジャが演奏していた「イムジン河」という曲を習い、彼女の前でギターで弾こうと決意するのだが…。
ザ・フォーク・クルセダーズのカバーでも知られる朝鮮分断の悲しみを歌った名曲「イムジン河」をモチーフに、京都で騒動を巻き起こす日本と在日朝鮮の高校生たちの恋や友情を熱く感動的に綴った青春群像ドラマ。パッチギとは“突き破る”とか“乗り越える”という意味だが、喧嘩の“頭突き”をも指す。
- パッチギ! LOVE&PEACE
- 監督:井筒和幸
- 2004年・シネカノン (127分)
- 《 生きぬくんだ、どんなことがあっても 》
1974年、アンソンは病気を患った息子チャンスのために京都から東京へ引っ越してきた。ある日、駅のホームで因縁のライバル近藤と大乱闘しているところを、気のいい国鉄職員の佐藤に助けられ、それ以来家族ぐるみで親しくなっていく。一方、芸能プロにスカウトされた妹のキョンジャは、狭い世界を飛び出したいという思いとチャンスの治療費を稼ぐために芸能界入りを決意。そして先輩俳優の野村との出会い。しかしチャンスの病状は悪化し、日本では助かる見込みがないことを知らされる…。
愛する息子の病気を治そうと奔走するアンソンとその妹キョンジャを中心に、彼らを取り巻く笑いと涙の人間模様を感動的に綴る。
- オレの心は負けてない 在日朝鮮人「慰安婦」宋神道のたたかい
- 監督:安 海龍
- 2007年・在日の慰安婦裁判を支える会 (95分)ドキュメンタリー
- 《 「被害者」は「被害者」ではなく「人」でした 》
宮城県で戦後を生きてきた宋神道(ソン・シンド)。よく冗談をいい、よく笑い、よく怒る。激しい気性と鋭い舌鋒、類いまれな洞察力は、中国での7年の「慰安婦」体験、半世紀におよぶ沈黙の「在日」生活を通して、さらに研ぎ澄まされたものだ。
「人の心の一寸先は闇だから。オレは絶対、人信じない」
人間不信の塊だった宋神道が、これを丸ごと受け止めようとする人々と出会い裁判をたたかう過程で、他者への信頼、自らへの信頼を取り戻していく姿を追ったドキュメンタリー。(商品説明から)
- あんにょん・サヨナラ
- 監督:キム・テイル
- 2006年・「あんにょん・サヨナラ」上映委員会 (107分)ドキュメンタリー
- 《 靖国神社に泣かされる人がいる 》
韓国人、李熙子(イ・ヒジャ)。彼女の父親は日本軍に徴用され、中国で戦死した。1990年代に入ってから、遺族の知らぬ間に靖国神社に合祀されていた事実が判明。厚生省(当時)は、亡くなった日時も場所も、遺族にまったく知らせないでおきながら、一宗教法人に過ぎない靖国神社には情報を提供していた。父親を母国で供養したいと願い、合祀の取り下げを求めるが、靖国神社は「できない」と突っぱねる。靖国神社の意味を多角的に見つめ直すドキュメンタリー。
- 考えてみよう靖国問題
- 監督:キム・テイル
- 2006年・「あんにょん・サヨナラ」上映委員会 (24分)ドキュメンタリー
- 《 靖国神社のこと、知っていますか? 》
みなさんは靖国神社に足を運んだことがありますか?他の神社との違い、設立の背景を知っていますか?靖国神社は宗教施設ではなく軍事施設だと聞いたら驚くのではないでしょうか。現代においても、追悼のための施設とは言いがたい側面があるのです。ドキュメンタリー映像『あんにょん・サヨナラ』を制作する過程で得られた証言や解説を再編集して、靖国神社の本質を学ぶための学習ビデオができました。ぜひご覧ください。
《 現代韓国 》
- わたしとフクロウ
- 監督:パク・ギョンテ
- 2004年 (90分)
- 《 基地の町の今昔 》
ソウルの北、議政府(ウィジョンブ)の米軍基地で暮らす「セックスワーカー」の女性たちの日々の暮らしや葛藤を描く。米軍基地周辺で働く女性をサポートするグループ<トゥレバン>を通じて監督が出会った、主人公のパク・インスンさん作の絵「わたしとフクロウ」が映画のモチーフとなっている。
- バッカス・レディ
- 監督:イ・ジェヨン
- 2016年 (111分)
- 《 生き方は誰が決めるのか 》
ソヨンは「死ぬほど上手」と評判の高齢者向け売春婦。客に性病をうつされ、治療のために病院に行くが、待合室でトラブルに巻き込まれたフィリピン人少年を助け、やむなく家に連れ帰った。そこは同性愛者、障がい者など、社会の周辺に生きる人たちが肩を寄せ合って暮らすシェアハウス。生きるのが辛いと嘆く客たちに同情し、「上手に死なせてあげる」方法を思いついた彼女は…。バッカスとは1963年から販売されている韓国の栄養ドリンク(オロナミンCやリポビタンDみたいなもの)の商品名である。ソヨンを演ずる韓国の大女優、ユン・ヨジョンの演技がすばらしい。
- はちどり
- 監督:キム・ボラ
- 2018年・韓/米 (138分)
- 《 この世界が、気になった 》
急速な経済発展を続ける1994年の韓国。中学2年のウニは、両親と問題を抱えた姉と兄の5人でソウルに暮らしている。仕事で忙しい両親の関心は、もっぱら長男の大学受験のことだけ。ウニのことなど気にかける素振りも見せない。同級生たちとなじめず、学校でも孤独な日々を送るウニだったが、ある日、初めて自分に関心を示してくれる大人と出会う。新しく塾の教師として着任した女性、ヨンジだった。彼女に対して少しずつ心を開き、自分の抱える悩みを相談するようになったのだが…。
急速な経済発展を続ける1994年の韓国を舞台に、長い歴史の上に築かれた男性優位社会の中で、様々な理不尽に傷つけられ、孤独な日常生活を送る14歳の少女の葛藤と成長を、繊細な視線で描き出された青春群像劇。
- チャンシルさんには福が多いね
- 監督:キム・チョヒ
- 2019年 (96分)
- 《 あなたのまわりには福がいっぱい 》
映画プロデューサーのチャンシル。映画をこよなく愛する彼女は、全人生を映画に捧げるつもりでいたのに、これまで支えてきた映画監督が突然、急死してしまう。仕事一筋に生きてきたアラフォー女は、今になって子どもも男も家も金もないことに気づくのだった。とりあえず丘の上に立つ一人暮らしの老女の家に間借りした彼女は、気心の知れた女優の家で家政婦として働き始めたのだが…。等身大のヒロインを、ユーモアとペーソスを織り交ぜて描くコメディ・ドラマ。
- トガニ 幼き瞳の告発
- 監督:ファン・ドンヒョク
- 2011年 (125分)
- 《 この子たちの手を放したら、僕は父親には戻れない 》
ソウルから地方都市にやってきたカン・イノ。聴覚障害者学校に赴任した美術教師である。校舎ですれ違う子どもたちは、なぜか怯えた様子。ある日、女性の寮長が女の子の頭を洗濯機に押しつける現場を目撃し、口論の末、病院に入院させ、ひょんなことから知り合った人権センターのスタッフに連絡し、やがて判明したことは、子どもたちが、校長や教師たちから日常的に性的虐待を受けていたという事実。二人はマスコミを使って校長たちを告発、ようやく警察が動いて逮捕にこぎ着けたものの…。
聴覚障害者学校で起きた性的虐待事件の実話をもとにした小説を映画化した衝撃作。校長や教師たちによる虐待だけでなく、町の名士として支持する地域住民、警察や司法との癒着、金銭による示談で解決を図ろうとする社会のあり方、その結果の免責や軽い量刑など、弱者である障害を抱えた子どもたちを取り巻く厳しい環境が描かれる。この作品が公開されたことにより、当該事件があらためて浮上し、再審の結果、学校は閉鎖され、性犯罪に関する法改正が実現した。映画にも社会を変える力があることを示す作品である。
- 冬の小鳥
- 監督:ウニー・ルコント
- 2009年・仏 (92分)
- 《 韓国の家族社会 》
1975年のこと。父に連れられたジニがやって来たのは、カトリック教会が運営するソウル郊外にある児童養護施設だった。黙って立ち去った父が、いつか必ず迎えに来てくれる。自分は孤児なんかではないと、他の子どもたちと馴染むのを拒み、反発するばかりのジニ。そんな彼女を気にかけ、なにかと面倒を見てくれる年長のスッキに、少しずつではあるが、ジニは心を開いていくのだった。過酷な運命を受入れ、悲しみを乗り越えていこうとする一人の少女。その繊細な心の軌跡を描いた本作は、韓国のカトリック系児童養護施設からフランスの家庭に養女として引き取られた監督自らの体験を元にしたものである。
- ミナリ
- 監督:リー・アイザック・チョン
- 2020年・米 (116分)
- 《 そして、明日が始まる… 》
1980年代の米国はアーカンソーの高原。ここに土地を買った韓国系移民のジェイコブ、農業での成功を夢見て、家族で引っ越してきたのだった。ところが、そこは誰も手を出さなかった、出せなかった荒れ地だったのである。生計を立てるためにも、想像を絶する困難が待っていた。しっかり者の長女と、好奇心旺盛な弟は、少しずつ新しい生活に順応していくのだが、不便な生活に苛立つ妻との間に溝が深まっていく。そうした中、夫婦は幼い姉弟の面倒を見てもらうため、韓国から母を呼び寄せるのだったが…。
韓国系移民の二世で、米国の田舎町で育ったリー監督が、自らの体験をベースに制作した感動の家族ドラマ。アメリカン・ドリームを信じ、韓国からやって来た移民家族を主人公に、その苦労を温かなまなざしで丁寧に描き出す。見ものは、型破りなおばあちゃん役で数々の賞に輝いた、韓国を代表するベテラン女優ユン・ヨジョン。
- パラサイト 半地下の家族
- 監督:ポン・ジュノ
- 2019年 (132分)
- 《 パラサイトこそこの世の天国… 》
失業中の父親とその家族。一家はかつて核攻撃を想定して造られた古い集合住宅の薄暗い半地下に暮らしている。ある日、大学受験に落ち続けている息子に家庭教師の話が舞い込む。友人のエリート大学生から、留学中のピンチヒッターを依頼されたのだ。紹介された家を訪ねると、そこはIT会社の社長一家が住む高台にある大邸宅。信頼を得た彼は、言葉巧みに妹を美術の家庭教師として紹介し、これが成功する。妹は父親を運転手として、さらには母親を…、一家そろって屋敷の中に入り込んでいくのだったが…。
貧困層と富裕層、ふたつの対照的な家族がくり広げるてんやわんや。偶然の機会を最大限に利用して極貧生活から逃れようとする姿、ある意味浮き世離れした生活に浸かって現実が見えない裕福な人たち、滑稽ともいえる両者をユーモラスに描きながら、ストーリーは予測しない展開を見せる。カンヌ国際映画祭のパルムドールとアカデミー賞のダブル受賞作である。
- シークレット・ジョブ
- 監督:ソン・ジェゴン
- 2020年 (117分)
- 《 動物園を舞台にした前代未聞の極秘プロジェクト! 》
廃業目前の動物園の経営再建を委ねられ、園長となった法律事務所の見習い弁護士。着任してみると、動物もほとんど残っていないありさまだった。ひらめいたのは奇想天外なアイデア!シロクマ、ライオン、キリン、ゴリラ、ナマケモノの着ぐるみに身を包んだスタッフが動物として勤務するというもの。はたしてその結末は…。
- 8番目の男
- 監督:ホン・スンワン
- 2018年 (114分)
- 《 「真実」を隠す男 》
2008年、韓国司法界に「国民参与裁判」という名の陪審員制度が導入された。その最初のケースで、陪審員として選ばれた八人の一般市民が、証拠も証言も揃い、有罪が確実視されていた殺人事件を、裁判官とともに審議する。全国民が注目する中、第八陪審員となった青年ナムの繰り返す素朴な疑問によって、裁判の先行きは次第に不透明感を増していくのだった。すべてが手探りの中で進むことになる裁判の行方をスリリングに描いた法廷サスペンス。
