全映画リストにもどる

このページ内でワード検索ができます。Windowsパソコンでは「Ctrl+F」、Macパソコンでは「Command+F」

楽しいもの

空を飛ぶことがまだ冒険だった時代のオハナシ
素晴らしきヒコーキ野郎
監督:ケン・アナキン  1965年・米 133分

飛行機が発明されて間もない1910年、英国の新聞王がロンドン・パリ間の飛行機レースを開催することになった。賞金は、なんと50万ポンド!自慢の飛行機をひっさげた世界各国ぼ冒険野郎たちが集まってくる。空を飛ぼうという夢を実現させるための機械、奇抜・珍妙な飛行機のオンパレードが何とも楽しい。英国代表は新聞王の娘とその恋人。その二人と三角関係になる米国代表。ドイツ、フランス、イタリアの男たちも、それぞれの国民性が強調されて演じられるのも笑える。強豪とみなされた日本代表のヤマモトもやってきた。当時の日本には、まだまともに飛べる飛行機などなかったのだけど、まあフィクションだから。

全映画リストにもどる
創作と現実を混同しないのが大人というもの
モンティ・パイソン・アンド・ナウ
監督:イアン・マクノートン、テリー・ギリアム  1971年・英 90分

英国BBCで放映されたTVシリーズ「空飛ぶモンティ・パイソン」の傑作コントを劇場用にリメイク。現代の狂気や人間の愚かしさなどを笑い飛ばすパロディの数々。レース、冒険、登山、そして軍隊と戦争、どれも英国がリードしてきたものばかり。自虐ではなく、第三者から見ればということを忘れない大人の風刺。けっこう悪のりしているけれど…。

全映画リストにもどる
自国の英雄をも笑い飛ばすのが英国流
モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル
監督:テリー・ギリアム、テリー・ジョーンズ  1975年・英 92分

西歴932年、アーサー王はカメロット城へ、聖杯探求の旅に出た。しかし聖杯は、そこにはなかった。果てしない旅が続く。ロビンは森の中で三つの顔を持った騎士に阻まれ、ガラハットはアンスラックス城で、百数名の美女達と一夜を共にしなければならないなど、ハプニングの連続。聖杯のありかを知っているという老魔法使いに出会い、怪獣の住む洞窟に行く。ダイナマイトを投げ込み、中で古代語が刻まれた石を発見した。勝者のみが渡れる“死の橋”を超え、魔法のボートに乗ってアール城に向かったのだが…。アーサー王一行がどうなったかは、想定外のエンディングにより、結局わからずじまいになる。

英国で大人気を博したTV番組「空飛ぶモンティ・パイソン」の放送終了後、彼らが制作した、アーサー王の聖杯探求の物語をパロディ化したシュールでファンタジックな傑作コメディ映画。

全映画リストにもどる
厚い信仰も一歩下がって見れば…
モンティ・パイソン/ライフ・オブ・ブライアン
監督:テリー・ジョーンズ   1979年・英 93分

ローマ時代、ユダヤで一人の男の子がかいば桶の中で誕生。東方から来た三賢人は救世主だと信じたが、実は普通の子でしかなかったことで、この子(ブライアン)の悲劇が始まる…。イエス・キリストの偉大な生涯をパロディ化した映画だが、キリスト教国だからといって「不謹慎」だとか「不敬」とは言わず、可笑しければアハハと屈託なく笑うところに、英国をはじめ欧州諸国が大人であることを感じさせる。

全映画リストにもどる
キミは人生の意味を考えてみたことがあるか?
モンティ・パイソン/人生狂騒曲
監督:テリー・ジョーンズ、テリー・ギリアム  1983年・英 107分

モンティ・パイソンの劇場用映画第4弾。今回は「生きる意味」についてマジメに考えて見ようという共通のテーマを揚げ、宗教と性、臓器移植、食べること等、人間の誕生から死までの各場面をブラックユーモアたっぷりに描く7編のスケッチが展開される。

全映画リストにもどる
ゴージャスな楽しさがてんこ盛り
バロン
監督:テリー・ギリアム   1989年・英 125分

中世のドイツ。少女にせがまれた男爵が、攻め寄せるトルコ軍を撃退するために、昔の仲間を探しに旅立つ…。ほら男爵ことミュンヒハウゼンの活躍を描いた冒険譚を、『モンティ・パイソン』の顔ぶれがパロディ化。美しい映像の中で繰り広げられる奇想天外な冒険。貝殻の中から現れるお姫様との幻想的なロマンス、韋駄天、怪力、千里眼、地獄耳の小人など個性的な家来たちが登場し、派手なスペクタクル、楽しさも豪華さも満載の夢物語が最後まで展開される。巨額な制作費の割りには興行的にうまくいかず、大赤字だったとか…。

全映画リストにもどる
名前からして英国の切り札…
ジョニー・イングリッシュ
監督:ピーター・ハウイット   2003年・英 87分

英国の諜報機関MI7のエース、エージェント1号が任務遂行中に死亡した。その葬儀に、今度は爆弾テロが起こり、参列していた腕利きエージェントたちが全員死亡。そんな時に限って、英国存亡がかかった重大事件が起こる。やむなく、唯一の生き残りである内勤の男ジョニー・イングリッシュをエージェントに据えざるを得なくなった当局。そもそも、ジョニーの誤情報がエージェント1号の死亡原因だったし、葬儀中の警備も彼の担当だった…。彼で本当に大丈夫なのか?大ヒットした『Mr.ビーン』のローワン・アトキンソン主演による、スパイ・アクションのパロディ。敵役にジョン・マルコヴィッチを配するなど、なかなか贅沢な布陣だ。

全映画リストにもどる

ページの先頭へもどる

生まれ変わった(?)ジョニー
ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬
監督:オリヴァー・パーカー  2011年・英 101分

5年前は諜報機関MI7のトップ・エージェントだったジョニー・イングリッシュ。モザンビークで大失態を演じ、今はチベットの僧院で修行中の身である。そんな彼を、再びMI7が招請。すっかり様変わりしたMI7に戻ったジョニーに、新しいボスであるペガサスが、中国首相の暗殺計画を阻止せよとの極秘ミッションを与える。新人諜報員タッカーを助手に、情報収集のため香港へと向かうのだったが…。ジリアン・アンダーソンやBBC制作のTVドラマ『レ・ミゼラブル』でジャン・バルジャンを演じたドミニク・ウェストなど、共演は今回も豪華だ。

全映画リストにもどる
ジョニー頼りのMI7が心配になるが…
ジョニー・イングリッシュ アナログの逆襲
監督:デヴィッド・カー  2018年・英/仏/米 89分

サイバー攻撃によって、英国諜報機関MI7の現役エージェント全員の情報が漏洩。活動停止に追い込まれてしまったMI7は、最後の頼みの綱として、既に現役を引退していたジョニー・イングリッシュを呼び戻す。犯人を特定するための極秘ミッションが下され、かつての相棒ボフとともに犯人追跡に乗り出すジョニー。しかし、アナログ時代しか知らない彼の前に、デジタル・テクノロジーという難敵が立ちはだかる。某国のエージェントを演じるオルガ・キュリレンコやエマ・トンプソンの英国首相など、共演者もなかなか。

全映画リストにもどる
二大女優がメキシコで大暴れ
ビバ!マリア
監督:ルイ・マル  1965年・仏 122分

マリア(ブリジット・バルドー)は父親仕込みのはえぬきのアナーキスト。流浪の果てにたどり着いたメキシコで警官に追われ、たまたま通りがかった旅の一座に紛れ込む。歌手が自殺してひと騒動の一座は、彼女を代役に立て、花形女優のもうひとりのマリア(ジャンヌ・モロー)とコンビを組ませて舞台に送り出すことにした。「マリア&マリア」で売り出して大人気の二人だったが、アナーキストのマリアが保守派の暴行略奪を目撃し怒り心頭、大立ち回りを演じてしまう。さらに、革命派の指導者に惚れてしまったことで、退くに退けない恋と農奴解放の大闘争に参入…。フランスを代表する二人の大女優が、同じマリアという名を持つ歌手兼踊り子に扮し、革命のメキシコを舞台に大暴れするミュージカル調コメディ。

全映画リストにもどる
極上の“泥棒映画
黄金の七人
監督:マルコ・ヴィカリオ  1965年・伊 91分

ジュネーヴのスイス銀行に眠る7トンの金塊を地下から狙う六人。真向かいのホテルの一室から「教授」と呼ばれる男の指示が無線で飛ぶ。傍らにいるのは妖しい美女ジョルジァ。奇想天外で痛快な金塊強奪作戦。アイデア満載。ストーリーは二転三転。余計な描写が皆無の緊迫感。ジャズとスキャットとバロックを融合させたかのような音楽も小粋。裏切り者は誰だ?

全映画リストにもどる
米ソをも笑い飛ばすアクション・コメディ
続・黄金の七人/レインボー作戦
監督:マルコ・ヴィカリオ  1966年・伊 101分

あと一歩というところで金塊強奪に失敗し、ローマで危うく警察の手をのがれた“黄金の七人”ことアルベール教授と六人の男たち、そして妖しい美女ジョルジァ。一味は新たな仕事に着手した。ローマ銀行の地下にある金塊と札束を、今度は首尾良く奪取。その手腕を買ったのは、なんとアメリカ合衆国。国務省、陸軍情報部、保安局、防諜局の面々にFBI長官、駐ローマ大使までが顔を揃え、極秘の仕事を依頼してきた。資本主義陣営に与しない、とある中米の島国の国家元首である将軍を誘拐してくるというもの。そのためには、原子力潜水艦をはじめ、あらゆる近代兵器を提供するというのだ。引き受けた教授だが、しょせんそれは国際政治の綱引き。中南米の革命を支援するために入港していた七千トンもの金塊を積んだソ連船を、船ごとそっくりいただいてしまおうという作戦を同時進行で進める。彼らはドロボーなのだから…。

1960年代の中米、社会主義国の独裁者で髭面の将軍…とくれば、もう彼しかいないだろう。奇想天外の作戦にアクションをまじえ、当時の世界情勢をも笑い飛ばしながら展開するストーリー。ジョルジァを演ずるロッサナ・ポデスタの妖しい魅力。ルパン三世に登場する峰不二子の原型がここにあると言う人もいる。まあ見てのお楽しみ…。

全映画リストにもどる
人生、誰かと入れ替わったら?
LUCK-KEY/ラッキー
監督:イ・ゲビョク  2016年・韓国 112分

銭湯で頭を打ち、記憶喪失となった殺し屋。現場に居合わせ、相手が金持ちだと勝手に思い込んだ売れない役者。ロッカーの鍵をすり替えたことで、人生が入れ替わってしまう。内田けんじ監督の『鍵泥棒のメソッド』をリメイクしたコメディ映画。

全映画リストにもどる
懐かしさがよみがえる
スノーマン
監督:ダイアン・ジャクソン  1982年・英 28分

原作はイギリスの絵本作家であるレイモンド・ブリッグス。それを映像化したファンタジックなアニメーション。雪の降ったある日のこと。少年は一日がかりで雪だるま(スノーマン)を作った。深夜、突然動きだした雪だるまが、夜が明けるまで少年と戯れ遊ぶ。少年だった日の懐かしい思い出を呼び覚ましてくれる、子供よりはむしろ大人向けに作られたような作品。本作が大のお気に入りのデヴィッド・ボウイは、後に同じくブリッグスの『風が吹くとき』の主題歌を担当している。

全映画リストにもどる
 
カッコイイとは、こういうことさ
アニメ:紅の豚
監督:宮崎駿  1992年・ジブリ 91分

時代は1920年代のイタリア。背景に見え隠れするのは、ファシスト党の台頭である。アドリア海では、海賊ならぬ“空賊”が、飛行艇で船を襲い、金品を略奪していた。彼らにとっての“目の上のたんこぶ”は、真紅の飛行艇を駆る空賊退治の賞金稼ぎ男、ポルコ・ロッソ(紅い豚)。空賊たちは、彼に一泡吹かせようと、アメリカから凄腕パイロットのドナルド・カーチスを呼び寄せる。エンジン修理のための回送飛行中、カーチスと空中戦になり、エンジンの不調で不時着せざるを得なくなったポルコは、汽車で愛機をミラノに運ぶ。

昔なじみのピッコロという名の工房で、新しい主翼を設計するのは、工房の孫娘のフィオ。組み立ては、おばさん、おばあさんたちである。男たちはみな軍隊に引っぱられてしまっていた、そんな時代である。新しい翼を得た“紅の豚”は運河から飛び立ち、カーチスとの雌雄を決する海(空?)に向かうのだった。

宮崎駿の短編漫画をもとにした長編アニメ作品。元は空軍パイロットだったポルコは、今や賞金稼ぎの“お尋ね者”。そんな彼を案じた空軍時代の戦友フェラーリンは軍に戻ることを勧める。その時のふたりの会話。


ファシストと比べては豚に失礼というものだ。しかし、ここから読み取れるの は、国家とか軍隊という“大きなもの”の本質、それに対する一匹狼、すなわち “小さきもの”である個人のあり方である。ポルコの愛機を修理する工房の名は ピッコロ、設計と組み立て作業は女性たち。こちらも“小さきもの”、“力のない存在”とされたものだ。力を合わせることによって事態を打破する。宮崎駿の視座 が凝縮されているのではなかろうか。

主題歌を歌うのは、マダム・ジーナの声で登場する加藤登紀子。劇中の「さくら んぼの実る頃」もいい。

全映画リストにもどる
ページ先頭へ